疑念は探究の動機であり、探究の唯一の目的は信念の確定である。

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今日も気楽に何か書く: Stone dualityの歴史についてのまとめ

今日もほぼ適当に書きます。今日のネタはツイッターに連続投稿しようかなと思っていたけれども、めんどくさいからいいやと思って、こちらのブログに書きます。それはストーン双対性の誕生とその圏論的表現です。定理の厳密化への歴史的な流れです。

 

 Stoneの双対性が初めて現れたとき: 37年

Stoneが初めてStoneの双対性を示したのは以下の論文である。

Applications of the theory of Boolean rings to general topology, Trans. Amer. Math. Soc., vol. 41 (1937) 

この論文は無料でダウンロードできる。 こちら 

ちなみに、Stoneの論文の引用は名前と雑誌名のみ記載されていて、ほとんど論文名が書かれていないことに注意すべし。たとえば、上の論文をストーンが引用しているときは、

Stone, Trans. Amer. Math. Soc., vol. 41 (1937)

か、またはもし引用される論文が同じ雑誌に記載されているならば(ここではTransactions of the American Mathematical Society)、

Stone, these Transactions, vol. 41 (1937) 

のようにストーンは引用する。だから、その辺は注意するべきであり、我々は論文のタイトルだけでなくその論文の雑誌名や巻数などもちゃんと記載するべきである。そうでなければ、Stoneの論文を読むときに手こずってしまうからである。

 

さて、Stoneの双対性はこの論文のTheorem 4 (p.383)に書かれている。

それは以下のようにである。

Theorem 4. The algebraic theory of Boolean rings is mathematically equivalent to the topological theory of Boolean spaces by virtue of the following relations:...

Mac Laneはこの論文を書評している(このpdfを入手するためにはJSTORに承諾されなくてはならないが)。

Review by Saunders Mac Lane, The Journal of Symbolic Logic, vol. 4, no.2 (1939), pp.88-89.

そこに何が書いてあるかはいつか述べる(まだ詳しくは知らない)。

 

 

37年論文の問題点 

さて、しかし、ここで一つ問題が生じる。それは、定理4にある"mathematically equivalent"が一切定義されていないまま、ここでは使われているのである。この"mathematically equivalent"とは何か? 結論を言うとそれがグロタンディークがTôhoku Journalで初めて(たぶん)定義した圏同値である。正確にいうと次のようになる: ブール圏のオポジット圏(双対圏)とストーン圏が圏同値であるということである。

\bf{Boole}^{\text{op}}\cong \bf{Stone}

ここで、それぞれのファンクターを示したいところだけれども、時間がないので省略。

 

ここで、ある双対圏とある圏との同値を表しているからStoneの双対性と言われる。これが単なる二つの圏の同値ならば、単純に圏同値と言われる。

 

 

Doctor(1964)の証明

このようにストーンが言った"mathematically equivalent"を厳密に定式化された圏論的Stoneの双対性を(たぶん)初めて示したのが、Hoshang P. Doctorである。

Hoshang P. Doctor, The categories of Boolean lattices, Boolean rings and Boolean spaces, Canad. Math. Bull., vol.7, no.2 (1964)

実はDoctorの論文はP. JohnstoneのStone Spacesの参考文献にはない。さらに、これまで話した内容はすべてこの論文から引っぱってきた。

 

 

1968年のシカゴコンファレンス

その後、1968年にシカゴでStoneを祝うコンファレンスが行われ、のちに一冊の書籍となった。

Functional Analysis and Related Fields, Proceedings of a Conference in honor of Professor Marshall Stone, held at the University of Chicago, May 1968, Edited by Felix E. Browder, Springer-Verlag, 1970

 そこでMac LaneもThe Influence of M. H. Stone on the Origins of Category Theoryという講演をしている(記載されている)。そこでMac Laneは圏論に関わるStoneの一部の功績を話している。そこで、さきほどの"mathematically equivalent"の話しもある。

この論文にはStoneのコメントもある(Remarks of Professor Stone, pp.236-241)。そこで何が語られているかはまだわからない。読んでいないから。

 

 

最後に

だいたいこんな感じである。まだ、あやふやなところがあるし全然読んでないけれどもこれから研究する所存である。

 

 

 

僕から以上