疑念は探究の動機であり、探究の唯一の目的は信念の確定である。

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位相空間論入門: 連続とは何か

概要

位相空間論(Topology)とは連続の幾何学である。それでは「連続」とは何か。ここで我々は直観的な連続性から公理的なものへと概念化をする。つまり、高校のときに勉強した連続の定義から位相空間での連続の定義へとつなげる。

ステップ 1 直観的な連続性の定義

 {f: \mathbb{R}\to \mathbb{R}} を実関数としよう。

定義 1 (直観的な連続性)

ある点 {a\in \mathbb{R}} が与えられたとき、{f: \mathbb{R}\to \mathbb{R}}{a}連続であるとは、{x\in \mathbb{R}}{a} に限りなく近づくとき、{f(x)} は限りなく {f(a)} に近づくことができるときである。このとき、

       {\lim_{x\to a}f(x) = f(a)}

と表わされる。または、

               {x\to a} のとき、{f(x)\to f(a)}

と表される。

 

{\mathbb{R}} の各点で連続であるとき、関数は連続であると言う。

これが直観的に理解されている連続の定義である(高校のとき)。 

 

 

ステップ 2 誤差論からε-δ論法

{f: \mathbb{R}\to\mathbb{R}} を点 {a\in \mathbb{R}} で連続であるとする。連続性の考察の第一歩は誤差として考えることである。すなわち、 {|x - a|}{0} に近づくとき、 {|f(x) - f(a)|}{0} に近づくことである。これは

       {|x-a| \to 0} のとき、{|f(x) - f(a)| \to 0}

である。 

 

 

さて、ここで連続性を考えるために、関数 {g: \mathbb{R}\to \mathbb{R}} が点 {a\in \mathbb{R}}連続でない場合を考えてみよう。このとき、上の誤差論から次の性質を満たすある正数 {E} が存在することがわかる: たとえどんな小さな正数 {D} に対しても、誤差は {|x-a| \prec D}となる任意の点 {x} に対して、ある点 {x}{|f(x) - f(a)|\geq E} である(ここで、{\prec} は <である。普通の順序)。

以上より、定義 1で定義された直観的な連続性は次のように書き換えられる*1

定義 2 ({\epsilon - \delta} 論法での連続性)

関数 {f: \mathbb{R}\to \mathbb{R}} が点 {a\in \mathbb{R}}連続であるとは、任意の正数 {\epsilon} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、

{|x - a| \prec \delta} ならば、{|f(x) - f(a)| \prec \epsilon}

が成り立つ。

 

各点で連続であるとき、関数 {f: \mathbb{R} \to \mathbb{R}}{\mathbb{R}} で連続であると言う。

 

 

 

ステップ 3 (Interlude) 点列における連続性との同値性

もう一つの連続性の考え方は、点列である。つまり、点 {a} に収束する任意の数列 {\{x_n\}_{n\in\mathbb{N}}} に対して、{\{f(x_n)\}_{n\in\mathbb{N}}}{f(a)} に収束することである。 

実はこの二つの連続性の定義は同値である。その証明をすることは難しくない。が、点列における収束の定義をしなければならない(いわゆるε - N論法)。

したがって、ここでは省略する。 

 

 

ステップ 4 集合による連続性の書き換え 

さて、連続性に関する次のステップは、このε - δ論法を集合論的に定義し直すことである。そのためにいくつかの記号を導入する。

記号

任意の点 {x, y\in\mathbb{R}} に対して、関数 {d: \mathbb{R}\times \mathbb{R}\to \mathbb{R}}

                     {d(x, y): = |x - y|}

と定義する。これを距離関数という。

 

{a}{\mathbb{R}} の点として、{\epsilon} を正数とする。点 {a}{\epsilon}近傍とは、

           {B_{\epsilon}(a):= \{x\,|\, d(a, x) \prec \epsilon \}}

である。

さて、この記号のもと、先ほどの連続性の定義 (定義 2)を書き換えてみよう。

ε - δにおける連続性は、任意の正数 {\epsilon} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、

   {|x- a|\prec \delta} となる {x\in\mathbb{R}}

           {\Rightarrow}

   {x}{|f(x) - f(a)| \prec \epsilon} が成り立つことである。

 

これを集合論的に書き換えれば、

           {^{\forall}x\in B_{\delta}(a)} 

           {\Rightarrow}

           {^{\forall}f(x)\in B_{\epsilon}(f(a) )} 

 である。ここで、{^{\forall}f(x)\in B_{\epsilon}(f(a) )}{f} の逆像を用いて、{^{\forall} x\in f^{-1}(B_{\epsilon}(f(a) ) )} と表される。したがって、一般に、{A\subset B\iff ^{\forall}x\in A\Rightarrow ^{\forall}x\in B} より、{B_{\delta}(a)\subset f^{-1}(B_{\epsilon}(f(a) ) )} である。以上より、連続性は次のように定義し直される。

定義 2' (集合論ε-δ論法)

関数 {f: \mathbb{R}\to\mathbb{R}} が点 {a\in \mathbb{R}}連続であるとは、任意の正数 {\epsilon} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、

             {B_{\delta}(a)\subset f^{-1}(B_{\epsilon}(f(a) ) )}

が成り立つことである。

 

 

ステップ 5 距離空間

このように集合論的に連続性を定義することによって、形式的には絶対値 {|x - y|} がなくなった。一般に空間は {\mathbb{R}} でなくてもよい。{n} 次元実空間 {\mathbb{R}^n} でも連続性は同様に定義できる。このとき距離関数 {d^n: \mathbb{R}^n\times \mathbb{R}^n\to \mathbb{R}}{d(x, y): = \sqrt{\Sigma_{i = 1}^{n}(x_i - y_i)^2}} と定義される。ここで、{x = (x_1, \ldots, x_n),\,\, y = (y_1,\ldots, y_n)\in\mathbb{R}^n, } である。

 

さらに、連続写像(関数)は実空間上でなくてもよい。より一般化できる。ある集合上に距離関数 {d} があれば連続が定義できるからである。そこで、距離関数 {d = d^1: \mathbb{R}\times \mathbb{R}\to \mathbb{R}} の性質を考えてみよう({d(x, y):= |x - y|})。容易にわかるように距離関数 {d} には次の性質がある。

距離関数 {d: \mathbb{R}\times\mathbb{R}\to \mathbb{R}}の性質

任意の点 {x, y, z\in\mathbb{R}}に対して

(1)               {d(x, y) \geq 0}

(2)               {d(x, y) = 0\, \iff\, x = y}

(3)               {d(x, y) = d(y, x)}

(4)               {d(x, z)\leq d(x, y) + d(y, z)}

が成り立つ。

絶対値の定義からこれらの性質は容易にわかる。

 

したがって、集合 {X} が与えられたとき、関数 {d: X\times X\to \mathbb{R}} が (1) - (4) を満たすときに {d}距離関数と呼び、{\langle X, d\rangle}距離空間と呼ぶ。

 

距離空間によって定義 2'と同様にして連続写像を定義することができる。

定義 3 (距離空間上の連続写像)

{\langle X, d_x \rangle,\, \langle Y, d_y\rangle}距離空間とする。写像 {f: X\to Y} が点 {a\in X}連続であるとは、任意の正数 {\epsilon} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、

             {B^{(X)}_{\delta}(a)\subset f^{-1}(B^{(Y)}_{\epsilon}(f(a) ) )}

が成り立つことである。

ここで、

           {B^{(Z)}_{r}(p): = \{ z\in Z\,|\, d_{Z}(p, z)\prec r\}}

と定義されている。ただし、{Z = X,\,\text{or}\, Y,\,\, r \succ 0,\,\, p\in Z} である。

 

このように距離空間上で連続写像を定義すると、距離(関数)は連続写像において本質的(intrinsic)ではないことがわかる。

以下でその例を示す。例がわからなければ、先へ進むことを勧める(図を書けば理解をよりしやすくなると思うが、図はまだ挿入しない)。

 

例 1

{f: \mathbb{R}^2\to\mathbb{R}^2}写像とする。任意の点 {x = (x_1, x_2 ), y = (y_1, y_2)\in\mathbb{R}^2} に対して、

                           {d_{1}(x, y): = \sqrt{(x_1-y_1)^2 + (x_2 - y_2)^2}}

                           {d_{2}(x, y): = |x_1-y_1| + |x_2-y_2|}

                           {d_{3}(x, y): = 0\,\,\text{if}\,\, x = y;\,\, 1\,\, \text{if}\,\, x\neq y}

と定義する。この関数 {d_i (i = 1, 2, 3)} は距離関数の性質 (1) - (4)を満たすことが容易にわかる。  

一般に、ある点 {p\in \mathbb{R}^2} とある正数 {r} に対して、

  • {d_1(x, p) \prec \frac{r}{\sqrt{2}}} となるすべての {x\in\mathbb{R}^2} に対して、{d_2(x, p) \prec r} が成り立つ。
  • {d_2(x, p) \prec r} となるすべての {x\in\mathbb{R}^2} に対して、{d_1(x, p)\prec r} が成り立つ。

よって、{(\mathbb{R}^2, d_1) \overset{f}{\to} (\mathbb{R}^2, d_1)} が点 {a\in \mathbb{R}^2} で連続であることは、{(\mathbb{R}^2, d_2) \overset{f}{\to} (\mathbb{R}^2, d_2)} が点 {a\in \mathbb{R}^2} で連続である。{(d_2 \Rightarrow d_1)} は自明であるので、{d_1 \Rightarrow d_2} を示す。すなわち、任意の正数 {\epsilon} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、{d_1(x, a )\prec \delta\,\Rightarrow\,d_1(f(x), f(a) )\prec \epsilon} が成り立つならば、任意の正数 {\epsilon} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、{d_2(x, a )\prec \delta\,\Rightarrow\,d_2(f(x), f(a) )\prec \epsilon} も成り立つことを示す。

任意の正数 {\epsilon} を取る。{(\mathbb{R}^2, d_1) \overset{f}{\to} (\mathbb{R}^2, d_1)} が点 {a\in \mathbb{R}^2} で連続であると仮定されているので、{\frac{\epsilon}{\sqrt{2}}\succ 0} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、

{d_1(x, a)\prec \delta\,\Rightarrow\, d_1(f(x), f(a) )\prec \frac{\epsilon}{\sqrt{2}}} 

が成り立つ。

{d_2(x, a)\prec \delta\,\Rightarrow\, d_1(x, a)\prec \delta}

{d_1(f(x), f(a) )\prec \frac{\epsilon}{\sqrt{2}} \,\Rightarrow\, d_2(f(x), f(a) )\prec \epsilon}

より、 

任意の正数 {\epsilon} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、{d_2(x, a )\prec \delta\,\Rightarrow\,d_2(f(x), f(a) )\prec \epsilon} が成り立つ。これが示したかったことである。 

 

{d_1,\,d_2} のときは連続性は依存する。だが、実は、{d_1, \, d_3} のときは先ほどのように連続性は依存しない。つまり、{d_3} では連続ではないようなある連続写像 {(\mathbb{R}^2, d_1)\overset{f}{\to} (\mathbb{R}^2, d_1)} が存在する。証明は省略。

 

この例から写像の連続性において距離は本質的でないことが示唆される。 

 

 

ステップ 6 ε-δから開集合へ

位相空間への次のステップは連続性をε - δから開集合で書き直すことである。これまで写像の連続は部分的に集合論的に書き換えられていたが、まだεやδのような数が使われている。それらを開集合によって形式的になくしてみよう。

{\langle Z, d_Z\rangle}距離空間とする。開集合を先ほど定義した近傍 によって次のように定義しよう。{Z} の部分集合 {A\subset Z} が開(open)であるとは、各点 {a\in A} に対して、ある正数 {r} が存在して、 {B^{(Z)}_r(a)\subset A} が成り立つことである。

ここで、任意の正数 {r} と任意の点 {p\in Z} に対して、{p\in B^{(Z)}_{r}(p)} であり、{B^{(Z)}_{r}(p)} は開集合である。実際、{0 = d_Z(p, p) \prec r} より、{p\in B^{(Z)}_{r}(p)} である。各点 {z\in B^{(Z)}_r(p)} に対して、{\delta: = r - d_Z(z, p) \succ 0} とおけば、{B^{(Z)}_{\delta}(z)\subset B^{(Z)}_r(p)} である。実際、任意の点 {x\in B^{(Z)}_{\delta}(z)} を取れば、距離関数の定義の一つである三角不等式 (4)より、

{d_Z(p, x) \leq d_Z(p, z) + d_Z(z, x) \prec r}

である。よって、{x\in B^{(Z)}_r(p)} である。

 

これによって次の定理が成り立つ。 

定理 1 

{f: X\to Y}{X} で連続であることの必要十分条件{Y} の任意の開集合 {O_Y\subset Y} に対して、その逆像 {f^{-1}(O_Y)}{X} の開集合であることである*2

 証明

({f: X\to Y} は連続 {\Rightarrow} {Y} の開集合の逆像はまた {X} の開集合である)

{f: X\to Y} が連続であるとする。つまり、各点 {a\in X} と任意の正数 {\epsilon} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、

{B^{(X)}_{\delta}(a)\subset f^{-1}(B^{(Y)}_{\epsilon}(f(a) ) )}

が成り立つとする。{O_Y\subset Y} を任意の {Y} の開集合とする。各点 {x\in f^{-1}(O_Y)} に対して、{f(x)\in O_Y} は開集合より、ある正数 {r_x} が存在して、{B^{(Y)}_{r_x}(f(x) )\subset O_Y} が成り立つ。{f} の連続性と逆像の性質より {x\in X}{r_x \succ 0} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、

{B^{(X)}_{\delta}(x)\subset f^{-1}(B^{(Y)}_{r_x}(f(a) ) )\subset f^{-1}(O_Y)}

が成り立つ。したがって、各点 {x\in f^{-1}(O_Y)} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、

{B^{(X)}_{\delta}(x)\subset f^{-1}(O_Y)}

が成り立つ、すなわち、{f^{-1}(O_Y)}{X} の開集合である。

(開集合の逆像が開集合 {\Rightarrow} 連続)

任意の {Y} の開集合の逆像が {X} の開集合であるとする。このとき、{f: X\to Y} は各点で連続であることを示す。つまり、各点 {a\in X} と任意の正数 {\epsilon} に対して、ある正数 {\delta} が存在して、

{B^{(X)}_{\delta}(a)\subset f^{-1}(B^{(Y)}_{\epsilon}(f(a) ) )}

が成り立つことを示す。

任意の {a\in X,\,\, \epsilon \succ 0} を取る。{B^{(Y)}_{\epsilon}(f(a) )}{Y} の開集合である。したがって、仮定より、その逆像 {f^{-1}(B^{(Y)}_{\epsilon}(f(a) ) )}{X} の開集合である。ここで、{f(a)\in B^{(Y)}_{\epsilon}(f(a) )} つまり、{a\in f^{-1}(B^{(Y)}_{\epsilon}(f(a) ) )} より、開集合の定義から、ある正数 {\delta} が存在して、

                 {B^{(X)}_{\delta}(a)\subset f^{-1}(B^{(Y)}_{\epsilon}(f(a) ) )} 

が成り立つ。 

これが示したかったことである。

(証明終わり) 

 

したがって、我々は連続写像を次のように開集合によって定義し直すことができる。

定義 3' (開集合による連続写像)

{\langle X, d_X\rangle,\,\, \langle Y, d_Y\rangle}距離空間とする。

写像 {f: X\to Y} が点 {a\in X}連続であるとは、{f(a)} を含む {Y} 任意の開集合 {O_Y} に対して、{a} を含む {X} のある開集合 {O_X} が存在して、

{O_X\subset f^{-1}(O_Y)}

が成り立つことである。

 

写像 {f: X\to Y}連続であるとは、{Y} の任意の開集合に対して、{f} によるその逆像が {X} の開集合であることである。

*3 

 

このようにして写像の連続性を開集合や開近傍(点 {p\in X} を含む開集合)によって、表すことができるのである。そして我々には次のような標題を得る。すなわち、

連続性の主役は開集合である。 

もちろん、ここには単純化がされている。というのも位相空間論では開集合だけでなく閉集合(closed sets)や近傍系などがあり、それらはどれも同等の立場であるからである。それらをいま無視している。

だが、にもかかわらず我々が言いたいことは、位相空間においては「集合」が主役であるということである。ε-δや距離関数 {d} などから飛翔して、集合によって連続について議論をするのである。実際、定義 3'には形式的にはε-δも距離関数 {d} も現れていない。開集合しか現れていない。主役は集合である。

 

 

ステップ 7 距離空間から位相空間

連続性において開集合が主役であるので、ここで開集合の性質について考えてみよう。

{\langle X, d_X\rangle }距離空間としたとき、容易に開集合について次の性質がわかる(証明は略)。

(1) 空集合と全空間は開集合である。{\emptyset,\, X\in \mathscr{O}}

ただし {\mathscr{O}}{X} の開集合の族である。

(2) {X} の二つの任意の開集合の共通部分はまた開集合である。

{O_1,\,\, O_2\in \mathscr{O}\,\Rightarrow\, O_1\cap O_2\in\mathscr{O}}

(3) {X} の任意の開集合の和集合はまた開集合である。

{O_{\lambda}\in \mathscr{O},\, \lambda\in \Lambda\,\Rightarrow\, \bigcup_{\lambda}O_{\lambda}\in\mathscr{O}} 

 

このような開集合の性質を論理(logic)の観点から推測することができる(S. Vickers, Topology via Logicに書いてある)。

 

さて、先ほど絶対値の距離 {d(x, y) = |x - y|} の性質 (1) - (4)から逆に距離関数 {d} および距離空間を定義したように、ある集合 {X} の族 {\mathscr{O}_X\subset \mathscr{P}(X)} が上の (1) -  (3)を満たすとき、{\langle X, \mathscr{O}_X\rangle}位相空間(topological space)と言う。{\mathscr{O}_X} の元 (集合)を {X}開集合と言う。

これによって、我々の目標である位相空間上での連続写像を定義できる。それは実質的には定義 3'と全く同じである。

 定義 4 (位相空間上の連続写像)

{\langle X, \mathscr{O}_X\rangle,\,\, \langle Y, \mathscr{O}_Y\rangle}位相空間とする。 

 

写像 {f: X\to Y} が点 {a\in X}連続であるとは、{f(a)} を含む {Y} 任意の開集合 {O_Y\subset \mathscr{O}_Y} に対して、{a} を含む {X} のある開集合 {O_X\subset \mathscr{O}_X} が存在して、

{O_X\subset f^{-1}(O_Y)}

が成り立つことである。

 

写像 {f: X\to Y}連続であるとは、{Y} の任意の開集合 {O_Y\subset \mathscr{O}_Y} に対して、{f} によるその逆像 {f^{-1}(O_Y)}{X} の開集合であることである。

 

 

最後に 

以上より、位相空間論の入門を終える。直観的な連続性の概念から位相空間による厳密な連続性へと自然と定義できた。位相空間は一見すると、あまりに抽象的に思われるかもしれない。だが、その分汎用性がある。というのも、距離空間ならば距離関数を定義しなければならないが、位相空間は集合とその集合族で定義されているからである。集合論の公理より、任意の集合はその集合族を定義することができるからである。 集合とその集合族によって位相空間を定義できるため、それによって論理にも適用することができる。

その代わり、位相空間はあまりにも抽象的であるため、実際は、適当な制限を加えて議論されることが多い。応用面では距離空間であることが多い。特に関数空間を議論する解析ではそうである。 

 

これまでは、位相空間連続写像という最低限の議論をした。線形代数で例えれば、ベクトル空間と線形写像を定義しただけである。他にも部分空間や直和や基底を議論したように、位相空間にも部分空間や閉集合や開基などを議論する。さらに抽象的なベクトル空間に計量をつけてベクトル空間に制限を加えて議論したように、抽象的な位相空間に制限を加えて議論される。それらは実数論からつながっていて、例えば、connectedness や compactnessや separate axiomsなどである。

他にも、どのような位相空間ならば距離空間にできるのかという自然な問題もある(距離化可能問題)。

 

位相空間は抽象的で難しいかもしれないが、わかれば楽しいものである。この記事が何か役に立つならば幸いである。 

 

 

僕から以上

*1:この非連続関数の命題を否定して、連続関数の命題を得るためには、論理学の知識がなければならない。したがって、少しギャップを感じるかもしれない。

*2:ここでは、連続性が全空間で定義されている。一点での連続のときでも同様なのか考えてみた。つまり、{f: X\to Y} が点 {a\in X} で連続であるとは、{f(a)\in Y} を含む任意の開集合 {O_Y\subset Y} に対して、その逆像 {f^{-1}(O_Y)}{X} の開集合であることと同値なのかということである。考えてみたが、全空間での連続でしかうまく証明ができなかった。

*3:この辺りの議論はもう少し改良ができると思う。まだ不十分でありギャップがある。