疑念は探究の動機であり、探究の唯一の目的は信念の確定である。

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人物描像: 村松正隆先生 ---- 皮肉混じりなしゃくれ

村松先生は現在北大の文学部に所属している。私は哲学や社会学を学ぶために、文学部の授業にもぐりをしていた。そのときに出会った先生の一人である。その授業はフランス社会思想史であった。コントやトクヴィルデュルケームなどのフランス革命以後のフランス人社会学者の思想を開設した授業であった。先生の授業を聞いていたけれども眠かったときもある。他の人はかなり内職をしていたり寝てた気がする。それでも単位が取れるのだから、連中はすごいなと思った。私は授業後に質問しまくっていた。それから私のことを知ってもらった。その後も偶然会ったら立ち話をする関係である。幸いにも私の名前を覚えてくれている。それは嬉しい。

 

先生の専門はフランスの思想史である。特に、メーヌ・ド・ビランという超マニアックな人を研究している。でも正直なところ何やっているのかは知らない。

“現われ”とその秩序―メーヌ・ド・ビラン研究

“現われ”とその秩序―メーヌ・ド・ビラン研究

 

それでも先生はフランス思想史に詳しいので、いろいろと聞いていた。話は面白い。 「先生はコントに詳しいですが、それはビランを研究するために、勉強なさったからですか?」とうろ覚えの浅薄な知識で聞くと、「一応、そうだけど....」と話された。何言っていたかはわからなかった。

 

先生は東大の文学部を卒業している。先生は72年生まれであるので東浩紀(71年)や國分功一郎(74年)と同年代である。実際、先生は何回か東と話したことがあるらしい。けれども國分との関係は知らない。少し年下では千葉雅也(78年)がいるが彼らフランス現代思想(ドゥルーズ)研究者と先生との関係性はよくわからない。そもそもなんでメーヌ・ド・ビランなんていうマニアックな人を研究しようと思ったのか。先生がフランス現代思想をどのように評価しているのか気になる。まだ、それは聞いていない。

 

この前、偶然街中で先生に遭遇した。そこで立ち話をした。私はフランスと数学・科学について次のような質問をした。フランスは特に革命以後、エコールポリテクニクが創設されたのもあり、数学や科学が強い。それは何か文化的・教育的な背景があるのか。特に哲学的な背景があるのではないか。フランスはデカルトから続く大陸の合理主義の土地であり、合理主義の典型である数学をフランスは重要視しているのではないか。

このように質問したら、先生は意外な答えをした。あまりそうとは思わない。むしろ数学をプラグマティックに扱っていたと。フランス数学は最近まで、基本「解析」であり、解析を研究するのは物理や応用のためであったと。基礎論にはさほど関心を示さなかった。合理主義云々というのはあまり関係がないと思われる。「彼らは意外にしたたか」とおっしゃっていた。

補足をすれば、20世紀になるまで、ラグランジュフーリエ、コーシーをはじめとするフランス人数学者はエコールポリテクニク出身者であった。そして彼らは基本的には解析が主であった。だが、20世紀にはヒルベルトやネーターなどのドイツの数学に影響されて、ブルバキが誕生した。ブルバキメンバーのほとんどがポリテクニク出身者ではなく、エコールノルマルシュペリエール出身者である。フランスにもブルバキによって基礎論が定着した。さらにその後はフランスでは代数が主役になった。

そのときは先生の答えに納得していた。「たしかにフーリエとかはそうだな」と。しかし、今から考えれば、それに対して「それならばブルバキはどうなるのですか? あのような基礎論の流れがフランスから起こったことをどのように思いますか? 代数幾何についてはどう思いますか?」と聞いてもよかった。だが、それを思いつく前に我々は別れた。

 

しかし数学を思想的・社会学的に議論できることは稀である。なぜなら数学の先生ならば、フランスの社会思想を知らないし、フランス社会思想の先生は数学に興味を持っていないからである。たいして先生はなぜか数学に多大な興味を持っている。「最近、微積線形代数を勉強している」とおっしゃっていた。だから、先生と話すととても面白い。

 

 

僕から以上