疑念は探究の動機であり、探究の唯一の目的は信念の確定である。

数学・論理学・哲学・語学のことを書きたいと思います。どんなことでも何かコメントいただけるとうれしいです。特に、勉学のことで間違いなどあったらご指摘いただけると幸いです。 よろしくお願いします。くりぃむのラジオを聴くこととパワポケ2と日向坂46が人生の唯一の楽しみです。

地球温暖化とその解決策について

概要

気候変動問題(地球温暖化問題)についてはさまざまな見解がある。一つは二酸化炭素を含む温室効果ガスが地球の気候に影響を及ぼしており、その原因が人為的であることを事実として認めるかどうかということである。一部にはそれを認めないか認めても過小評価する人達がいる。次に地球温暖化を認めてかつそれは解決すべき問題であるとの立場である。大多数はこの立場であるが、その解決策はさまざまである。一方で環境を守るために資本主義を放棄すべきという極左環境原理主義の立場がある。だが大多数は資本主義を維持しながら、環境問題に対処する立場である。主流派経済学では公共財の問題である環境問題に対して、環境税を導入することは負の外部性の対処として正当化される。だが、それ以上の政府介入を認める立場もある。例えば環境に優しい新しい技術を開発するために政府が企業に補助金を支給することを認める立場がある。さらに政府が出資者として積極的にリスクを取り、クリーンテクノロジーに投資すべきであるという考えもある。地球温暖化問題はこれまでにない困難を伴うが、さまざまな知見を総動員して解決しなければならない。累進的環境税の導入、適切な国際条約の締結、原子力エネルギーの積極的利用などが地球温暖化の解決策の糸口となるだろう。

はじめに

気候変動問題(地球温暖化問題)についてはさまざまな見解がある。次のいくつかの問いでそれぞれの立場が分類できる。

問い1

  • 問い1. 二酸化炭素を含む温室効果ガスが地球の気候に影響を及ぼしており、その原因が人為的であることを事実として認めるか。

もしもNOと答えるならば、それは懐疑派となる。この立場も複数ある。例えば科学的事実そのものを否定する立場と、事実は認めるがたいして影響はないと考える立場である。後者を微温派(lukewarmer)と言われる1。他にも気候変動は起こっているが、その原因が人為的なものではないと考える論者もいる。

本来ならば環境問題は政治的問題(イシュー)ではないはずである。科学的な事実があり、それに対して全員が一丸となって解決するべきものである。だが実際は環境問題は政治的なものとなり、これらの立場の人達は右派が多い。これは一部には民主党アル・ゴアが『不都合な真実』で環境問題を取り上げたことが原因であると言われている。アル・ゴアによって気候変動問題を左派のものだとのレッテルが貼られたのである。むしろそれ以前だと環境問題は右派が主張していたことなのに、と2

だが、大部分の人達は問い1に対して、YESと答える。問題はこれをどう解決するのかということである。ここで環境問題と資本主義の問題となる。というのも「産業革命以来の資本主義の発展により、二酸化炭素を排出続けたことが温暖化の主要な原因である」と考えられているからである。ここで次の問いが生じる。

問い2

  • 問い2. 資本主義は放棄されるべきか。

もしもこの問いに対して、YESと答えるならば、それは環境原理主義者である。 気候正義(climate justice)とも言われる3極左の論者がこの立場である。

この人達も少数派である。大多数は資本主義を肯定しながら、温暖化対策をすることを考える。だが資本主義を前提としていてもその解決策はさまざまである。

問い3

  • 問い3. 気候変動の解決のため政府による積極的介入をするべきか。

これにYESの立場はほぼ社会主義者である。マッツカートはその立場である4。マッツカートはアポロ計画を例とする。アポロ計画は政府が大きな目標(パーパス)を掲げて、それに向けて官民が共同して開発した。同じのように政府が温暖化対策に向けて積極的に指導するべきとの考えである。国家が投資家として、企業家として積極的に民間に投資するべきと主張する。アポロ計画の場合は単に官民共同の技術開発であったが、温暖化対策の場合はそれよりもはるかに難しい課題である。というのも、温暖化対策は単なる技術開発にとどまらず、市民生活のこれまでの習慣を変革する必要性すらもあるからである。だが、温暖化解決のためにはそこまでして政府が介入しなければならないとマッツカートは言う。マッツカートは「SGDs万歳!」の人で、使命感に燃えているのは結構なことであるが、果たして多くの人達が彼女のパーパスに付いてくるのか疑問に思う。実際、最近のEUの選挙結果を見ると、欧州緑グループ・欧州自由連盟(中道左派環境政党)が71議席から51議席に下がったが5、これはEUの環境対策への反発を表しているのかもしれない。EUの環境問題への対応が後退するのかもしれない。

この立場も主流派経済学とはかなり離れている。次の2つの問いは比較的主流派経済学者も認める。

問い4

YESの立場はアギヨン・ブネルである6。理由はクリーンな新しいイノベーションを起こすためには単に環境税だけでは不十分だからである。というのも、開発には経路依存性という制約が生じるからである。例えば既にガソリンエンジンを開発している自動車会社は新たなイノベーションを起こそうとするとき、これまでの経験をもとにガソリンエンジンの改良を試みやすく、全く新たな電気エンジンを開発するインセンティブがない。このような依存性から脱却するのはビジネスの論理ではとても難しいので、グリーンイノベーションに対して補助金による誘導をするのである。

問い5

公害や二酸化炭素の排出などは負の外部性である。外部性とは「経済活動により、第三者にスピルオーバーする費用または便益が生まれることである。」 7 8

正統派経済学者、つまり、大方の経済学者は温暖化対策において、カーボンプライシングを支持している。少なくともその経済的根拠が存在する。だが、気候変動問題はある特別な事情がある。それは厄介な共有地問題であるということだ。

共有地の悲劇

地球温暖化問題はいくつかの特徴がある9。一つは温室効果ガスは見えないということである(顕著性)。公害スモッグならば、目に見えて被害がわかるので、恐怖を感じやすい。だが、対して温室効果ガスは無色透明なので、恐怖を感じづらい。したがって「対策しよう」とキッカケが明確になりづらい。さらに目標達成も不明瞭である。アポロ計画ならば「人を月に送って、さらに安全に地球に帰還する」ということならば目標は明確である。だが、「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」といっても、その目標は明確ではない。達成感がない。

もう一つは共有地の悲劇である。例えばある共有地で牛を放牧している農民達がいるとする。それぞれの農民は自分の群れの数を増やすインセンティブが働く。しかしその結果として牛の総数が増えすぎるとやがて餌となる牧草が食べ尽くされて全農民の牛が全滅する。

このことが気候変動対策においても生じる。一つの家族や一つの会社や一つの国家が気候変動対策をおこなって、温室効果ガスの排出量を減らしても他の家族や社会や国家が温室効果ガスの排出量を増やせば意味がない。だが、各国が一致して排出量の削減をするのは難しい。アメリカは「中国やインドは排出量を減らさないのに、なぜアメリカが減らさなければならないのか」と考えるし、逆に中国とインドは「そもそも他の豊かな国が地球温暖化問題を生んだのになぜ我々が積極的に排出量を減らさなければならないのか」と考える。

共有地の悲劇を回避する方法の一つは強制力を働かせることである。国家権力がその放牧地を管理して農民に対して規制をかける。そしてその規制を破る農民がいれば、罰を与えるのである。

だが、気候変動対策が厄介なものであるのは、国際社会にはそのような強制力がないからである。すべての国が気候変動の条約を結び、温室効果ガスの削減目標を決めたとしよう。しかしもしある国家が削減目標を破っても、いかなる国も罰を与えることができないのである。

気候変動問題を含む環境問題にはしばしばこのような特有の問題があるので、各国を支配する世界政府や各国が同時に変革する世界同時革命に繋がりやすい。つまり、「②環境原理主義者」が期待(希望)するのはこの厄介な特徴のためである。

だが、これらの発想は早計である。確かに行動経済学は万能ではない。ナッジでこの難問をサクッと解決できるわけではない。しかし行動経済学の知見が解決の手がかりとなる10

もしもみなさんが、「低コストのナッジを使えばこの問題はなくなるので心配しなくていいですよ」と言ってもらえると期待してこの章を読んでいるとしたら、がっかりさせることになる。これまでたびたび強調してきたように、軽い介入であらゆる問題を解決できるわけではない。

ナッジでこの問題を解決できるわけではないのは確かだが、ナッジにできることはあるし、できることはすべてやらなければいけない。  また、気候変動を地球規模の選択アーキテクチャー問題として考えることも役に立つ。どうすれば問題を前進させられるかを理解するには、心理学と行動経済学の知見が助けになる。

行動経済学には公共財ゲームというのがある。この結果によるとたとえ強制力を持たない状況でも人は協力的になり得ることを示唆している。ただし条件付き協力者として。

私の考え

私はリバタリアン寄りの自由主義者であるので、「④主流派経済学者」の分類となる。環境税を含むピグー税を支持するが、最初の税率は小さくして、徐々に上げるものとするべきであると考える(具体的な税率や期限の意見はない)11。ただし低所得者の負担が増えないように支援するべきである12

また日本のような地震大国であっても積極的に原発を利用するべきと考える。理由は原発が安定的な低炭素エネルギー資源であるからである。さらに途上国に原発技術を輸出して経済発展を支援するべきとも考える13補助金に対しては否定的であるが、環境税がグリーンイノベーション補助金のみに使われると明確にできるならば支持できるかもしれない。また政府主導のイノベーション研究機関(DARPA)を創設するべきだとも考えている(実際は日本版DARPAが開始された14)。




僕から以上


  1. ピンカー『21世紀の啓蒙(上)』ch.10 環境問題は解決できる問題だ
  2. ピンカー『21世紀の啓蒙(下)』ch.21 理性を失わずに議論する方法
  3. ピンカー『21世紀の啓蒙(上)』ch.10 環境問題は解決できる問題だ
  4. マッツカート『ミッション・エコノミー:国×企業で「新しい資本主義」をつくる時代がやってきた』
  5. 欧州議会選挙2024 2つの「疲れ」表出と2つの域外脅威への対抗 Accessed 2024/06/30
  6. アギヨン・ブネル『創造的破壊の力―資本主義を改革する22世紀の国富論
  7. アセモグル・レイブソン・リスト『ミクロ経済学』ch.9.1 外部性
  8. 外部性をまだ私は理解していないから、単に外部性の説明箇所を引用しているのみである。またグリーンイノベーション補助金も正の外部性であり、ピグー補助金としてみなすこともできるかもしれない。ただ『ミクロ経済学』では正の外部性の例では所有する土地の美観をよくすることと教育が挙げられていて、グリーンイノベーションには言及がない。なので、私自身がグリーンイノベーションが正の外部性なのかまだ判断できない。
  9. セイラー・サンスティーン『NUDGE実践行動経済学完全版』ch.14 私たちの地球を救え--これからのナッジ活用、「温室効果ガスは絶対に減らすべき」なのに、取り組みがいっこうに進まない理由
  10. Ibid
  11. 『NUDGE実践行動経済学完全版』ch.14 グリーン税--「払いたくなきゃ、二酸化炭素を減らしなさい」
  12. Ibid
  13. ピンカー『21世紀の啓蒙(上)』ch.10 環境問題は解決できる問題だ
  14. 防衛装備研究の新組織「イノベーション研究所」、半数は民間から登用…100人態勢で今秋発足 Accessed 2024/06/30

書評小林秀雄・岡潔著『人間の建設』

基本情報

  • 題名: 人間の建設
  • 著者: 小林秀雄岡潔
  • 出版社: 新潮文庫
  • 発売日: 平成22年3月1日発行。令和5年5月30日17刷
  • 購入日: 2024年5月24日(金)
  • 了読日: 2024年5月28日(火)

動機

読むきっかけは、岩田温さんが「日本で最もおもしろい論争は『人間の建設』だと思う」と言っていたから。

【岩田温】ネオコンとは何か【WiLL増刊号】

感想

本の帯には「すれ違いの雑談か、歴史に残る対話か。決めるのはあなただ。」とある。

岩田さんは後者であるが、評者は前者である。

小林秀雄岡潔の両方とももちろん名前を知っている。小林の本を読もうとは思っていたが、これまで一度も読んでいなかった。岡潔の本もこれまで一度も読んでいなかったが、多変数複素関数論を知りたかったので、倉田令二朗の『多変数複素関数論を学ぶ』を購入して、最初の複素関数の復習まで読んでやめた。「層(sheaf)に関して岡の研究が関係している」ということを知っているぐらいである。もちろんどう関係しているかは知らない。

コーエンの「ZFCと連続体仮説の独立性の証明」の話も出てきているが、ここに書かれていることの真偽を本当は判断したかった。しかし私が無知無能なのでできなかった。

しかし感情的にはどうしても矛盾するとしか思えない二つの命題が、
数学的に無矛盾であるということが証明できて、そういうエキザンプルができたのです。
そういうエキザンプルが一つあれば、なるほど、知性には感情を説得する力がないということがわかります。
はじめからわかっていることなんですが。

p.41
一方でアレフニュルとアレフとの中間のメヒティヒカイトは存在しないと仮定したのです。
他方でアレフニュルとアレフとの中間のメヒティヒカイトは存在すると仮定したのです。
この二つの命題を仮定したわけです。どうしたって、これは矛盾するとしか思えません。
それは言葉からくる感情です。
ところがその二つの仮定が無矛盾であるということを証明したのです。
それは数学基礎論といって、非常に専門的技巧を要するのですが、その仮定を少しずつ変えていったのです。
そうしたら一方が他方になってしまった。それは知的には矛盾しない。
だが、いくら矛盾しないと聞かされても、矛盾するとしか思えない。
だから、各数学者の感情の満足ということなしには、数学は存在しえない。
知性のなかだけで厳然として存在する数学は、考えることはできるかもしれませんが、やる気になれない。
こんな二つの仮定をともに許した数学は、普通人にはやる気がしない。
だから感情ぬきでは、学問といえども成立しえない。

p.42



どうして小林秀雄の著作には人に関するものが多いのか不思議に思っていた。『モオツァルト』『ドストエフスキイの生活』『本居宣長』などである。だが、今回この本を読んでその理由がわかった。それは小林にとって「人がわからないとつまらないからであり、人がわかるとおもしろくなるから」である。

私は人というものがわからないとつまらないのです。
だれの文章を読んでいても、その人がわかると、たとえつまらない文章でもおもしろくなります。
石や紙という物をかいてもおもしろいのと同じように、人間というものはそこに実体が存在するのです。
それがないのがあるでしょう。それは私にはつまらない。
文章というものもみんなそうなんです。

p.86

その他

  • pp.38-40: 数学にも感情(情緒)の満足が必要。
p.38
岡
われわれの自然科学ですが、人は、素朴な心に自然はほんとうにあると思っていますが、ほんとうに自然があるかどうかはわからない。
自然があるということを証明するのは、現在理性の世界といわれている範疇ではできないのです。
自然があるということだけでなく、数というものがあるということを、知性の世界だけでは証明できないのです。
数学は知性の世界だけに存在しうると考えてきたのですが、そうでないということが、ごく近ごろわかったのですけれども、そういう意味にみながとっているかどうか。
数学は知性の世界だけに存在しえないということが、四千年以上も数学をしてきて、人ははじめてわかったのです。
数学は知性の世界だけに存在しうるものではない、何を入れなければ成り立たぬかというと、感情を入れ

p.39
なければ成り立たぬ。ところが感情を入れたら、学問の独立はありえませんから、少くとも数学だけは成立するといえたらと思いますが、それも言えないのです。

(改行) 最近、感情的にはどうしても矛盾するとしか思えない二つの命題をともに仮定しても、それが矛盾しないという証明が出たのです。
だからそういう実例をもったわけなんですね。
それはどういうことかというと、数学の体系に矛盾がないというためには、
まず知的に矛盾がないということを証明し、しかしそれだけでは足りない、
銘々の数学者がみなその結果に満足できるという感情的な同意を表示しなければ、数学だとはいえないということがはじめてわかったのです。
じっさい考えてみれば、矛盾がないというのは感情の満足ですね。
人には知情意と感覚がありますけれども、感覚はしばらく省いておいて、
心が納得するためには、情が承知しなければなりませんね。
だから、その意味で、知とか意とかがどう主張したって、その主張に折れたって、
情が同調しなかったら、人はほんとうにそうだとは思えませんね。
そういう意味で私は情が中心だといったのです。
そのことは、数学のような知性の最も端的なものについてだっていえることで、
矛盾がないというのは、矛盾がないと感ずることですね。感情なのです。
そしてその感情に満足をあたえるためには、知性が

p.40
どんなにこの二つの仮定には矛盾がないのだと説いて聞かしたって無力なんです。
矛盾がないかもしれないけれども、そんな数学は、自分はやる気になれないとしか思わない。
そういうことは、はじめからわかっているはずのことなんですが、その実例が出てはじめて、わかった。
矛盾がないということを説得するためには、感情が納得してくれなければだめなんで、知性が説得しても無力なんです。
ところがいまの数学でできることは知性を説得することだけなんです。
説得しましても、その数学が成立するためには、感情の満足がそれと別個にいるのです。
人というものはまったくわからぬ存在だと思いますが、ともかく知性や意志は、感情を説得する力がない。
ところが、人間というものは感情が納得しなければ、ほんとうには納得しないという存在らしいのです。


  • 確信していないものは複雑である。確信したものほど書くのが簡単なものがない。
岡
確信しない間は複雑で書けない。

小林
確信しないあいだは、複雑で書けない、まさにそのとおりですね。確信したことを書くくらい単純なことはない。

p.111


  • 日本の先生の給料が低すぎる。もっと上げろ。この時代(この対談は昭和40年10月「新潮」に掲載された)から言われていた。
小林
政治問題としてみれば、先生にもっと月給をあげなければいけないでしょう。
ぼくはフランスに行ったときに、小学校の図画の女の先生の生活を見てきた。
パリの街なかの一流のアパートに住めるのですよ。それだけの金を取っているということ(ここまでp.120)」
「(ここからp.121)がわかったのです。日本の先生はひどいなと思います。
とくに小学校の先生が薄給でやっているということはいけないですね。
本当に教育ということを考えれば、そういう馬鹿なことがあるはずはないのです。

pp.120-121


  • 解析学は一番古い学問。幾何学ではないのか...。むしろ解析学は一番新しい学問かと思っていた。その理由も少し強引な気がした。
小林
解析学はいつごろから始まった学問ですか。

岡
解析学が一番古いのです。

小林
アナリシスというのはどういう概念なんですか。

岡
アナリシスというのは分析するという意味ですね。
主体になっているものはな数でして、函数というのは、二つの数の間の関係をいうのです。
昔、エジプトあたりで作地の面積を測ったりする時に、たとえば三角法が使われた。
直角三角形の角と二辺の比、それを角の函数といって、
サイン函数とかゴサイン函数とかいいますね。そういうものが考えられていた。
二数の関係はエジプトですでに考えられていました。
そのいろいろな函数を広めていったものが解析学という学問なのです。

p.125


  • 問題を出すほうが難しい。
岡
その当時出てきていた主要な問題をだいたい解決してしまって、
次にはどういうことを目標にやっていくかという、いまはその時期にさしかかっている。
次の主問題となるものをつくっていこうとしているわけです。

小林
今度は問題を出すほうですね。

岡
出すほうです。立場が変るのです。中心になる問題がまだできていないというむつかしさがあるのです。


p.69


  • 岡のお子さんは数学があまりできないらしい。
岡
また実際問題として、私の子供は数学はあまりできやしませんし、遺伝なんかしそうもない。

p.107






僕から以上

Djangoのマイグレーションエラーについて

概要

Djangoにおいて、あるモデルを修正して、python manage.py makemigrationsすると、次のエラーが生じることがある。

% python manage.py makemigrations
It is impossible to add a non-nullable field 'profile' to mymodel without specifying a default. This is because the database needs something to populate existing rows.
Please select a fix:
 1) Provide a one-off default now (will be set on all existing rows with a null value for this column)
 2) Quit and manually define a default value in models.py.

このエラーの対処法をまとめる。

結論

次のようなモデルがあるとする。

class MyModel(models.Model):
    """My model"""
    first_name = models.CharField(max_length=10, null=True, blank=True)
    last_name = models.CharField(max_length=10)
  1. 既存のフィールドを変更する場合: e.g., first_namenull=Trueblank=Trueを削除する場合。

    --> 1)を実行する。

  2. 新しいフィールドを追加する場合: e.g., profileフィールドを追加する場合。

    --> 2)を実行する。オプションnull=Truedefault='hoge'などを追加したフィールドを追加する。profile = models.CharField(max_length=50, null=True)

  3. 新しいフィールドをオプションなしで追加する場合: e.g., オプションなしのprofileフィールドを追加する場合。

    --> 上記の2と1を実行する。

前提知識

  • Djangoを知っていることです。ここに書かれてあるコードをそのまま移しても再現されません。ですので想定読者は自分で読み替える程度の知識と経験があることです。

1. 既存のフィールドを変更する場合

  • mymodel.py
"""My model"""

from django.db import models

class MyModel(models.Model):
    """My model"""
    first_name = models.CharField(max_length=10, null=True, blank=True)
    last_name = models.CharField(max_length=10)
  • migrations/0004_mymodel.py
  • このファイルはpython manage.py makemigrationsで作成されたものです。
# Generated by Django 5.0.4 on 2024-04-30 03:58

from django.db import migrations, models


class Migration(migrations.Migration):

    dependencies = [
        ('books', '0003_store'),
    ]

    operations = [
        migrations.CreateModel(
            name='MyModel',
            fields=[
                ('id', models.BigAutoField(auto_created=True, primary_key=True, serialize=False, verbose_name='ID')),
                ('first_name', models.CharField(max_length=10, null=True, blank=True)),
                ('last_name', models.CharField(max_length=10)),
            ],
        ),
    ]

このとき管理者画面からデータを追加しました。first_nameフィールドはnull=Trueおよびblank=Trueですので、first_nameが空欄のデータを追加することができます。

ここからmodels.CharField(max_length=10)に変更するとします。

そのままfirst_name = models.CharField(max_length=10)と変更して、マイグレーションファイルを作成するとエラーが生じます。

class MyModel(models.Model):
    """My model"""
    first_name = models.CharField(max_length=10)
    last_name = models.CharField(max_length=10)
python manage.py makemigrations

It is impossible to change a nullable field 'first_name' on mymodel to non-nullable without providing a default. This is because the database needs something to populate existing rows.
Please select a fix:
 1) Provide a one-off default now (will be set on all existing rows with a null value for this column)
 2) Ignore for now. Existing rows that contain NULL values will have to be handled manually, for example with a RunPython or RunSQL operation.
 3) Quit and manually define a default value in models.py.

このとき変更したデータベース(MyModel)に空のフィールドがあるかどうかで対応が変わります。つまりデータベースのレコードに空のフィールドがある場合と、それ以外(データベースにレコードが存在しないかまたは存在しても空のフィールドがない場合)で修正方法が異なります。まずは後者の空のフィールドがない場合の修正方法です。

1.1 空のフィールドがない場合

コマンドで2)を選択すれば問題ありません。

python manage.py migrateしてもエラーが生じません。これでフィールドの変更の完了です。

1.2 空のフィールドがある場合

コマンドで2)を選択して、python manage.py migrateを実行すると、エラーが生じます。

% python manage.py migrate       
Operations to perform:
  Apply all migrations: admin, auth, books, contenttypes, sessions
Running migrations:
  Applying books.0005_alter_mymodel_first_name...Traceback (most recent call last):
  File "/Users/yoheiwatanabe/.pyenv/versions/3.11.3/lib/python3.11/site-packages/django/db/backends/utils.py", line 105, in _execute
    return self.cursor.execute(sql, params)
           ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
  File "/Users/yoheiwatanabe/.pyenv/versions/3.11.3/lib/python3.11/site-packages/django/db/backends/sqlite3/base.py", line 329, in execute
    return super().execute(query, params)
           ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
....

  raise dj_exc_value.with_traceback(traceback) from exc_value
  File "/Users/yoheiwatanabe/.pyenv/versions/3.11.3/lib/python3.11/site-packages/django/db/backends/utils.py", line 105, in _execute
    return self.cursor.execute(sql, params)
           ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
  File "/Users/yoheiwatanabe/.pyenv/versions/3.11.3/lib/python3.11/site-packages/django/db/backends/sqlite3/base.py", line 329, in execute
    return super().execute(query, params)
           ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
django.db.utils.IntegrityError: NOT NULL constraint failed: new__books_mymodel.first_name

この場合、データベースのすべてのレコードに空であるフィールドを手動で追加するか、次のようにファイルを修正してください。

  • 0005_alter_mymodel_first_name.py
# Generated by Django 5.0.4 on 2024-04-30 08:29

from django.db import migrations, models


def provide_default_for_profile(apps, schema_editor):
    MyModel = apps.get_model('books', 'MyModel')
    MyModel.objects.filter(first_name=None).update(first_name='default_value')


class Migration(migrations.Migration):

    dependencies = [
        ('books', '0004_mymodel'),
    ]

    operations = [
        migrations.RunPython(provide_default_for_profile),
        migrations.AlterField(
            model_name='mymodel',
            name='first_name',
            field=models.CharField(max_length=10),
        ),
    ]

このように修正するとpython manage.py migrateを実行してもエラーになりません。

% python manage.py migrate       
Operations to perform:
  Apply all migrations: admin, auth, books, contenttypes, sessions
Running migrations:
  Applying books.0005_alter_mymodel_first_name... OK

2. 新しいフィールドを追加する場合

次のようにprofileフィールドを追加すると、エラーが生じます。

class MyModel(models.Model):
    """My model"""
    first_name = models.CharField(max_length=10)
    last_name = models.CharField(max_length=10)
    profile = models.CharField(max_length=50)
% python manage.py makemigrations
It is impossible to add a non-nullable field 'profile' to mymodel without specifying a default. This is because the database needs something to populate existing rows.
Please select a fix:
 1) Provide a one-off default now (will be set on all existing rows with a null value for this column)
 2) Quit and manually define a default value in models.py.

null=Trueを追加すると解決されます。またはdefault='hoge'でも問題ありません。

class MyModel(models.Model):
    """My model"""
    first_name = models.CharField(max_length=10)
    last_name = models.CharField(max_length=10)
    profile = models.CharField(max_length=50, null=True)
 % python manage.py makemigrations
Migrations for 'books':
  backend/books/migrations/0006_mymodel_profile.py
    - Add field profile to mymodel
% python manage.py migrate       
Operations to perform:
  Apply all migrations: admin, auth, books, contenttypes, sessions
Running migrations:
  Applying books.0006_mymodel_profile... OK

APIでの確認。"profile": nullのデータを作成する。

3. 新しいフィールドをオプションなしで追加する場合

追加したフィールドprofileにはnull=Trueとなっていますが、それを削除します。

class MyModel(models.Model):
    """My model"""
    first_name = models.CharField(max_length=10)
    last_name = models.CharField(max_length=10)
    profile = models.CharField(max_length=50)
% python manage.py makemigrations
It is impossible to change a nullable field 'profile' on mymodel to non-nullable without providing a default. This is because the database needs something to populate existing rows.
Please select a fix:
 1) Provide a one-off default now (will be set on all existing rows with a null value for this column)
 2) Ignore for now. Existing rows that contain NULL values will have to be handled manually, for example with a RunPython or RunSQL operation.
 3) Quit and manually define a default value in models.py.
Select an option: 2
Migrations for 'books':
  backend/books/migrations/0007_alter_mymodel_profile.py
    - Alter field profile on mymodel
% python manage.py migrate       
Operations to perform:
  Apply all migrations: admin, auth, books, contenttypes, sessions
Running migrations:
  Applying books.0007_alter_mymodel_profile... OK

APIでの確認。"profile": nullでエラーになる。



マイグレーションエラーの解決策が少しわかった気がします。







僕から以上

読書メモ: C・P・スノー『二つの文化と科学革命』

基本情報

  • C・P・スノー
  • 松井巻之助 訳
  • みすず書房
  • 新装版第一刷
  • 購入日: 2023/12/31
  • 了読日: 2024/01/06

気になったこと

  • 二つの文化と科学革命: 1959年
  • その後の考察: 1963年
  • 「解説」はステファン・コリーニというのが書いている(1993年)

二つの文化と科学革命

  • 文化的知識人はまさに自分たちが知識人だと自負している。(p.5)
この二つの極端なグループの一方には文学的知識人がいる。
たまたま誰もそんなことをたいして問題にしてはいないことから、
彼らは他に知識人というものがないかのように、自分を知識人と信じこんでしまっている。

p.5
  • イギリスの科学者・技術者の25%にインタビューをした。彼らのほとんどは文学的素養がなかった。(p.13)
たいていの人たちは(私たちが彼らがどんな本を読んでいるかを調べたとき)謙虚に告白したものである、
「はい、ディケンズをすこしばかり**やって**みました」と。
まるでディケンズがリルケのたぐいの、いやに秘教じみた、
ややこしい余り役にもたたないような作品の作家であるかのように。

注: 「**やって**」の箇所は原文では強調点「、、、」がある
p.13
  • 有名な箇所。伝統文化の教育の高い人たち(文系の人たち)は熱力学第二法則を知らない。(p.16)
私は、彼ら[文学的知識人/文学に造詣の深い知識人]のうち何人が、熱力学第二法則について説明できるかを訊ねた。
答えは冷やかなものであり、否定的でもあった。
私は「**あなたはシェークスピアのものを何か読んだことがあるか**」というのと同等な科学上の質問をしたわけである。

注: 「**あなたは...**」の箇所は原文では強調点「、、、」がある
p.16
  • 「2. 生まれながらのラダイトとしての知識人」:
"二つの文化"が存在する理由とでもいうものは、多く、深く、複雑であって、
あるものは社会の歴史に、あるものは個人の歴史に、またあるものは種々の精神活動そのものの内部に働く原動力に根ざしている。
だが私はここで、理由というよりはこれに相関すること、これらの議論のあるものに、
あるいは直接、あるいは間接に関係する重要なこと、それを取りだしてみたい。
それは簡単にいえばこうである、科学的文化に属する人びとを除いては、
西欧の知識人は産業革命を理解しようと試みもしなければ望みもせず、
またできもしなかった。ましてそれを受けいれるはずもなかった。
知識人、とくに文学的知識人は生まれながらのラダイトだった。

p.23
  • ベネチア(ヴェネツィア)は、かつて栄えていたが、滅びた国(都市)の代表例であること。先進国の知識人はしばしば「我が国がベネチアと同じ道を辿るのではないか」という危惧を表明することを知った。(pp.40-41)

その後の考察

  • 「二つの文化と科学革命」の反響について、「奇妙な体験」であり、「残念に思っている」。(p.63)
講演後、一年するかしないかのうちに私は、魔法使いの弟子のように、
不愉快な気分になりだしていたのである。
論文、照会、手紙、非難、賞讃がドッと流れこみだしたからである。
そして、その講演がなかったら私のことなど知らないような国からのものも多かった。
あとで説明することだが、実は、これらの現象はすべて、私と余り関係のないことだったのである。
それは楽しいなどといえるものではなく、奇妙な体験であった。
文献は加速度的にたまっていった。当然、私は他人よりはそれを余計目にしたにちがいあるまい。
かといって、私は全部が全部を目にしたわけではない。
もっと有益な議論が普通のイギリス人には近づきえないようなことば、ポーランド語やハンガリー語や日本語で行われていると聞いて、私は残念に思っている。

p.63
  • 「われわれは孤りで死んでいく(We die alone)」と引用され、いびりまわされているが、実際は言っていない。「人は孤りで死んでいく(One dies alone)。」「われわれの誰もが孤りで死んでいく(Each of us dies alone)」という句をつかわざるをえなかった。(pp.67-68)
だが、この引用文はどこからとられたのであろうか。
率直に、文字通り眼を皿にしてリード講演を見ていただきたい。
そんな句は決して見つけられないであろう。それはどこにもない。
事実、それがあるとしたら、おかしなことなのである。

p.67

p.7: 「けっきょくは、誰もが孤りで死んでいく。」 p.8: 「われわれは誰も孤独である、誰もが孤りで死んでいく、いかにもそれはわれわれが抗いようのない運命である。」

  • 科学上の業績について理解しているかどうかを問うために「熱力学第二法則をどう理解しているか」を例にしたが、スノーはそれを使ったのを後悔している。現代ではむしろ分子生物学の知識のほうが適切である。(pp.81-84)

  • 講演を行う前は「富める者と貧しい者」という題名にしようと思っていた(これは講演「二つの文化と科学革命」のセクション4の題名である)。が、後から考えたら実際そうすべきだったと後悔している。(p.89)

じっさい、ここにこそ、私が全議論の中心問題にしようと意図したものがあった。
講演を草するまえ、私はそれに「富める者と貧しい者」という題をつけようと思っていた。
そしていまではむしろ、そのようにしておけばよかったと思っている。

p.89

解説

  • 「歴史的に見た「二つの文化」」: スノーの「二つの文化」議論はスノー以前にイギリスにあった。ハクスリーとアーノルド(pp.127-130)

  • 「「二つの文化」という考えの発展」: 「二つの文化」のアイディアは1930年代に生まれた。(pp.135-136)

  • 「「二つの文化」という考えの発展」: H・G・ウェルズの評価について、のちの「二つの文化」論争の最大の敵対者となるリーヴィスとスノーはウェルズの評価が真逆であった。(pp.136-139)

  • 「「二つの文化」という考えの発展」:

例えば、「奴隷制で唯一間違っているのはそれが十分に存在していないということだと考えたポベドノスチェフ神聖宗務院長官にごまをするドストエフスキー、
1914年の前衛派の政治的衰退と、そのせいでファシストのための宣伝放送に行きつくエズラ・パウンド、
他者の苦しみの正しさについて殊勝ぶってマーシャルに同意するクローデル、
黒人を別の人種として扱うセンチメンタルな理由を考え出すフォークナー」といった例である。

p.140

感想

スノーの二つの文化についての議論はとても有名なので、これまでたびたび聞いていた。しかしその内容は「熱力学第二法則を知らない文学的知識人」以外、まったく知らなかった。今回初めて読んだ。

講演のテーマは多岐に渡る。二つの文化だけではない。教育について。科学革命と産業革命について。地球問題(世界の貧困問題)について。さまざまなことが述べられていたこともあり、結局ちゃんと読むことはできなかった(しなかった)。理解度は半分にも及ばない。より深く読めば、より洞察が得られるだろう。

講演のタイトルは「二つの文化と科学革命」である。そして今回知ったことは、スノーが言いたかったことは、「二つの文化」よりもむしろ「科学革命」のことであったということだ。産業革命および科学革命により、イングランドを始めとする一部の地域は工業化した。その結果、平均寿命は伸び、幼少期での死亡率は下がり、物質的に豊かになった(平均寿命・出産のさいの死亡・飢え/飢饉...寿命、飢えからの解放、子供の成育(p.89))。だが他の多くの同胞はいまだに貧しいままである。この不平等は解決されなければならず、他の後進国も同様に工業化することで、解決されるだろう。そのためには政府は科学教育に取り組めばいい。スノーが本当にいいたかったことはそのようなことであった。だが、実際に世間や後世からは前半の「二つの文化」が注目された。

にもかかわらず、私が分からないことがある。それは次のような疑問である。世界をよりよくするために、つまり全世界にヒューマニズムを実現するために、科学技術を最大限に利用することはもっともな意見であり、多くの人が賛同するだろう。しかし、だからといって二つの文化の断絶がヒューマニズムの実現の障害となるのかどうかという疑問である。確かに実際上の理由は理解できる。つまり行政の意思決定者である政治家や公務員がもし科学的素養を一切ないならば、ヒューマニズムの実現が困難なるからというものである。そのようなことは本書にも書かれていた(気がする)。

われわれの二つの文化の間のギャップをなくすることは、もっとも実際的な意味からも、
もっとも抽象的、知的な意味からも、必要欠くべからざることである。
この二つのものが離れてしまうようであっては、いかなる社会も知恵をつかってものを考えていくことができないようになるであろう。
知的生活のため、わが国の固有の危機のため、貧しい人たちに囲まれて不安におびえながら富んだ生活をしている西欧社会のため、
世界中がもの解りよくなれば貧乏でいる必要もなくなる貧しい人びとのため、
われわれ、アメリカ人、全西欧人が教育というものを新鮮な眼で眺めることは義務である。

p.51: 二つの文化と科学革命
われわれは正しい結論をできるだけ早く引きだすべきであったのに、
文化の分離ということが主な原因となって、これを果たさなかった。
政治家や行政にたずさわる人びとにとって、
科学者が話しかけてくれていることの真意をつかむのはむずかしかった。
だが、いまやそれは受け入れられ始めている。

p.89

しかしそれ以外の理由(もっとも抽象的、知的な意味)が思いつかない。さらに逆になぜ科学者は文学的素養を学ばなくてはならないのかというのもわからない。二つの文化の断絶があったてもなくても、ヒューマニズムの実現は可能であると私は思う。

スノーに反対する人(リーヴィス)はスノーに対して、次のように批判した(揶揄した)。スノーは科学にも文学にも精通しているかもしれないが、文学について言えば二流以下だ。スノーは後世に残る文学を作ることはできない。そんな人に我々のことをとやかく言われる筋合いはない、と。

実際その批判は間違っていないと思う。というのも今日スノーが有名なのは皮肉にも「二つの文化」論争であり、小説家としてではないからである。スノーの小説『他人と同胞』(Strangers and Brothers)は当時では有名だったそうだが、今日も広く読まれているものではない。

「音楽には二つの文化の壁を超えて繋げる可能性がある」というようなことが書かれていた。それは示唆的だと思った。趣味として音楽を愛好する科学者や文学者が少なくないからである。






僕から以上

読書メモ: レヴィ=ストロース『月の裏側 日本文化への視角』

基本情報

気になったこと

序文

  • 画家であったレヴィ=ストロースの父親は日本の版画を蒐集していた。レヴィ=ストロースは6歳から版画をもらっていて、テストでいい点数を取るたびに、父親の版画をもらっていた。さらに父親が持っていた版画がなくなってしまうと、お小遣いをためて版画を購入していた。(pp.7-8)

川田順造との対話

  • レヴィ=ストロースの父親は芸術家であって、浮世絵が好きだった。レヴィ=ストロース自身も父親からもらって以来、浮世絵に虜になった。子供の頃は学校でいい成績を取ると、父親が持っていた浮世絵を1枚ずつ褒美として差し上げていた。(p.132)

知られざる東京

  • 「過去の伝統と現在の革新の間の得がたい均衡」(p.129)
日本を訪れる外国人は、各自が自分の務めをよく果たそうとする熱意、
快活な善意が、その外来者の自国の社会的精神的風土と比べて、
日本の人々の大きな長所だと感じるのです。
日本の人々が、過去の伝統と現在の革新の間の得がたい均衡をいつまでも保ち続けられるよう願わずにはいられません。
それは日本人自身のためだけに、ではありません。
人類のすべてが、学ぶに値する一例をそこに見出すからです。

pp.128-129

世界における日本文化の位置

「世界神話における主要なテーマ」

1985年に、私は初めてイスラエルとキリスト教の聖地を訪れ、
ほぼ一年後に九州で、日本の最も古い神話の始原にかかわる出来事があったとされている土地を訪れました。
私の文化と私の出自から言って、第一の場所の方が、二番目に訪れた土地より、私の心を捉えるのが当然であったはずです。
実際には、全く逆のことが起こりました。ニニギノミコトが天下った霧島の峰、
オオヒルメ、つまりアマテラス女神が閉じこもった洞窟に面した天岩戸神社は、
ダヴィデの神殿跡とされている場所や、ベツレヘムの洞窟や、
キリストの聖墓や、ラザロの墓よりも、深い感動を私のうちに惹き起こしました。

pp.16-17
なぜ、そうだったのでしょうか。
皆さまと私たちの、それぞれの伝統への対し方が著しく異なっているからだと、私には思われるのです。

p.17
  • 日本の大きな魅力の一つは西欧と違い、神話と歴史がつながっていることである。(pp.17-18)
私たち西洋人にとっては、一つの深淵が、神話と歴史を隔てています。
反対に、私が最も心を惹かれる日本の魅力の一つは、神話と歴史相互のあいだに、親密なつながりがあることです。

p.18
日本では書かれた歴史が比較的遅く始まったので、
日本人はごく自然に歴史を神話のなかに根づかせたのかもしれません。
神話から歴史への移行は巧妙になされています。
それがたやすくなされているため、これらの神話が日本人にもたらされた状況から、
一つの意図が存在したことがわかるのです。
それは、これらの神話を、厳密な意味での歴史の導入部にしようという、
編纂者たちの意図です。西洋にもむろん、神話はあります。
けれども西洋では、何世紀も前から、神話に属する領域と、歴史に帰すべき領域とを区別する努力をしてきました。
検証可能な出来事だけが、歴史として考察されるに値するというのです。
奇妙な逆説的な結果が、そこから生じています。
つまり、もし伝承に遺されている出来事が実際にあったのだとすれば、
それが起こった場所も示されうるはずです。
ところがキリスト教の聖地の場合、伝えられている場所でそれらのことが実際に起こった証拠はどこにあるのでしょうか。
ローマ帝国のコンスタンティヌス一世の母ヘレナ皇太后が、四世紀初め、聖遺跡を確かめようとパレスチナに赴いたのは、
自分の信念に惑わされたからではなかったと、
どうして言いきれるでし[ここまでp.17][ここからp.18]ょうか。
そして数世紀後の十字軍も、同じ思い違いをしていなかったと言えるでしょうか。
考古学の進歩にもかかわらず、彼らの証言が聖遺跡を正当化する、
ほぼ全面的な根拠にされ続けています。遺跡を訪れる人が、
聖書の内容は信じているが客観的精神の持ち主であった場合、
キリスト教のエピソードは実際にあったことだと思っていても、
本当にその出来事がこの場所で起こったかどうかには疑問を抱くのです。

九州では、このようなことはまったく問題になりません。
人々はそこで、あっけらかんとして神話的空気に浸るのです。
歴史性は問題になりません。より正確に言えば、この状況(コンテキスト)では歴史性を問題にすることが適切ではないのです。
天から降臨したニニギノミコトを迎えた栄誉ある土地はここだと二つの場所が主張しても、差し支えないのです。
パレスチナでは、もともと歴史的出来事が起こったという証拠を持たない土地には、
神話で箔をつけることが求められます。
しかしそのためには、神話が自らを神話ではないと主張しなくてはなりません。
つまり出来事が「本当に」そこで起こった場所だと、訴えなくてはならないのです。
しかしそれを証明するものは何もありません。
反対に九州では、比類のない見事な風景が、神話群を豊かにし、美化し、目に見える具体的なものに仕立てるのです。

pp.17-18
  • 日本の特異性。
この人たち[引用者注: 神聖な旧跡を訪ねる人たち]は、
偉大な国造りの神話や壮大な風景が、伝説的な時代と現代の感受性のあいだに、
現実的な連続性を保っているさまをあらためて確認しようとしているのです。

この連続性は、日本を訪れた初期のヨーロッパ人たちに、
衝撃を与えずにはおきませんでした。

pp.18-19
  • ジャン=ジャック・ルソーの不可思議な注「...特に日本」
ジャン=ジャック・ルソーは、1755年に公にされた『人間不平等起源論』の注の一つで、
まだまったく知られていないか、あまりにわずかしか知られていない諸文化を挙げ、
現地に行って研究することが緊急に必要であろうと述べています。
北半球では彼は十五ほどの国を挙げ、その概観を次の言葉で締めくくっています。
「......そして、特に日本」。なぜ、「特に」なのでしょうか?

p.19

川田順造との対話

  • 日本が世界に示せることはその独自性である。(p.147)
言うまでもなく、日本は多くの影響を受けてきました。
とくに中国と朝鮮からの影響、ついでヨーロッパと北アメリカからの影響です。
けれども、日本が私に驚異的に思われるのは、日本はそれらを極めてよく同化したために、そこから別のものを作り出したことです。
さらに、私が何としても忘れたくないもう一つの面は、これらのどの影響も受ける前に、
あなたがたは縄文文明という一つの文明をもっていたことです。
縄文文明は、人類における最古の土器を創り出しただけでなく、
それが極めて独創的な感覚によるものなので、世界のどこでもこれに比肩しうる、
いかなる種類の土器も見出すことができないのです。
縄文文明と比較できるものは、皆無です。
ですからそこに、根元での日本の特殊性の証があると、私は言いたいのです。
さらに、この日本の特殊性は、他所(よそ)から受け入れた要素を洗練し、
それをつねに何かしら独自のものにしてゆく力を具えていたのです。

ご存知のように、私たちは長い間日本から、倣うべき手本とみなされてきました。
日本の若者たちが、西洋を破滅させた悲劇的出来事と、
西洋を現在引き裂いている危機を前にして、「最早、手本はない。
我々は見習うべき手本を持たず、我々独自の手本を創り出してゆくのは、
まさに我々なのだ」と言うのを、私はしばしば聞いています。
私が日本に願いうること、そして期待しうることのすべては、
この手本(それは事実、西洋以外の世界にこれほど受け容れられてきました)に対して、
日本人が過去に示したのと同じ独自性を保ちうることです。
この独創性によって、日本人は私たちを豊かにしてくれることができるのです。

p.147

月の隠れた面

  • レヴィ=ストロースは米寿を記念に次男のマティユーから日本製の電気炊飯器をもらい、以後満100歳で亡くなる直前まで、日本式ご飯と訳者の川田が送っていた日本製の焼き海苔が大好物であった。食卓に欠かせなかった。水から炊く日本式のご飯。(p.59)(cf. p.150)

川田順造との対話

  • 東京の佃島に暮らしてみたいと奥さんに言った。慎ましい庶民街に暮らしたい。(p.138)
  • 同上: ブラジルにいたとき生のウジ虫を食べた(p.139)

感想

レヴィ=ストロースと日本の関係を知れてとてもよかった。

レヴィ=ストロースは幼少から日本に接していて、日本に憧憬していた。元来日本ファンだったことを知った。今でいうマンガ好きのフランス人オタクだろうか。ご飯と焼き海苔を好物としていたというのも意外だったし、日本的な健康的な生活をしていたから長寿だったのだろうとも思った。「佃島に住みたい」とか「イスラエルよりも九州に感動した」とかも言っていて、おもしろいなと思った。また以前どこかで「日本は歴史と神話の境界があいまいで、よくない。たいして西洋は歴史と神話の境界が明確でいい」と聞いたことがある。しかし、文化人類学者の視点からだと、むしろ日本のあいまいの方がよりよいとなるのがおもしろかった。

ということでレヴィ=ストロースは多少なりとも日本贔屓しているのだろう。しばしば注釈に「これは誤り」と説明がついている。しかしそれでも「日本の独自性」を強く肯定するレヴィ=ストロースに我々は勇気づけられる。同時に我々が「日本の独自性」を実践しなければならないと思った。




僕から以上

今年を振り返る

今年を一言で言うと「ChatGPT」だった。

ChatGPTの存在は1月中旬に知った(1月16日にChatGPTの資料を作成していた)。偶然海外のYouTube動画を観て知った。それまでOpenAIすら知らなかった。無料でAIを使えるので試してみたら、これまで考えていたAIとはまるで違う人間らしい反応をしたのでとても驚いた。

ChatGPTが本格的に話題になったのは3月ごろだと思う。このころからGPT4が登場して、これ以降ChatGPTは日常となった。ChatGPTに聞きながら、仕事を進めるようになった。芸能人のことや一般常識についてはGPT3.5でも4でもまだまだダメだが、プログラミングに関してはだいぶ有用である。だから毎日使っている。もはやChatGPTがない世界を思い浮かべるのは難しい。

世間も少しずつだがChatGPTを知るようになった。さらに「生成AI」や「プロンプトエンジニア」という言葉も知った。

これから日進月歩にAIは進歩する。それについていくのにも精一杯だが、どうなるのか楽しみである。




今年読んだ本

AI(人工知能)・BI(ベーシック・インカム)・DDD(デジタル直接民主主義)を考えるために、それらの関連本を読んでいた。

途中まで

1.『誰のためのデザイン?』

  • 第4章の途中まで。ところどころ示唆に富む箇所があった。もう少し読みたい。

2.『オートメーションと労働の未来』

  • 少ししか読んでいない。退屈でつまらない。

3. 『人はなぜ物を欲しがるのか』ブルース・フッド, 小浜杳 Kindle

  • 進化論的に考察するのかと思っていたが、どうやらそうではなかった。途中で挫折した。

4. 『半導体戦争――世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』クリス・ミラー, 千葉 敏生 Kindle

  • いい本であるが、途中でやめた。重要な本なので、再び読む。

5. 『SELFISHNESS(セルフィッシュネス) ―― 自分の価値を実現する』アイン・ランド, オブジェクティビズム研究会, 田村 洋一 Kindle

  • アインランドのことを理解したいので、読み始めたが、途中でやめた。また読む予定。

6. 『MMT 現代貨幣理論とは何か (講談社選書メチエ)』井上智Kindle

  • 薄い本でMMTについてコンパクトにまとまっているが、半分ぐらい読んでやめた。

7. 『果てしなき探求〈上・下〉―知的自伝 (岩波現代文庫)』カール・R・ポパー

  • 全部ちゃんと読んでおらず、ところどころ読み飛ばした。科学哲学のテーマがメインだったので、あまり有益ではなかった。もちろん初めて知ったこともあるが。

8. 『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか (文春e-book)』 ジューディア・パール, ダナ・マッケンジー, 夏目 大, 松尾 豊・監修解説 Kindle

  • 6割から8割ぐらい読んだ。もともとパールは知っているが、興味深く読んでいた。「わかりやすく書いた」と本には書いてあったが、途中で挫折した。また読もうという気はない。

9. 『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条 (早川書房)』フィリップ E テトロック, ダン ガードナー, 土方 奈美 Kindle

  • しばしば引用される本。最初の方を読んだだけ。これから読む予定。


全て読み切った本

1. 『図解き論理的哲学史逍遥』山下正男

  • 山下先生の本。とても楽しかった。いつか改めてまとめる。

2. 『AI技術史 考える機械への道とディープラーニング impress top gearシリーズ』Michael Wooldridge, 神林 靖 Kindle

  • AIについて知れておもしろかった。

3. 『創造的破壊の力―資本主義を改革する22世紀の国富論』フィリップ・アギヨン, セリーヌ・アントニン, サイモン・ブネル, 村井 章子 Kindle

  • とても面白かった本。内容は難しかったが、たくさん要約があったりして読みやすいように配慮していてよかった。刺激的だったし、今年トップ3に入る本。

4. 『Remember記憶の科学』 リサ・ジェノヴァ, 小浜杳 Kindle

  • 癖のある文章であるが、次々ページをめくってしまう本だった。内容は記憶の(神経科学の)基本的な知識が書かれてある。

5. 『教養としてのAI講義 ビジネスパーソンも知っておくべき「人工知能」の基礎知識』メラニー・ミッチェル, 尼丁 千津子, 松原 仁 Kindle

  • 文字通り「教養として」AIについて議論されていた。数式はなかった(と思う)。広範囲な話題を議論していてとてもよかった。ビジネスパーソンならこのぐらい知っときゃなきゃダメ?

6. 『リベラリズムへの不満』フランシス・フクヤマ, 会田弘継 Kindle

  • 今回初めてフクヤマの本を読んだ。読みやすかった。内容はおもしろかった。覚えていないけど。

7. 『自由をいかに守るか ハイエクを読み直す (PHP新書)』渡部 昇一 Kindle

  • 面白かった。読みやすかった。

8. 『純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落 (日本経済新聞出版)』井上智Kindle

  • 分厚い本であるが、なんとか読んだ。後半の経済のほうは私にとって有益であったが、最初のAIの説明には疑問を呈する箇所が何箇所かあった。ドゥルーズガタリの「リゾーム」概念を用いて、「ディープラーニングリゾームだ」みたいなことが書かれていて、それを読んだとき疑問を抱かずにはいられなかった。

9. 『テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツパラドックス』カール・B・フレイ, 村井 章子, 大野 一 Kindle

  • 分厚くて読みづらかったが、それでもとてもおもしろかった。今年トップ3に入る本。

10. 『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる (NHK出版新書)』井上 智洋 Kindle

  • 一応読んだが内容は覚えていない。

11. 『AI時代の新・ベーシックインカム論 (光文社新書)』井上 智洋 光文社 Kindle

12. 『NUDGE 実践 行動経済学 完全版』リチャード・セイラー, キャス・サンスティーン, 遠藤 真美 Kindle

  • とても面白かった。今年トップ3に入る本。

13. 『啓蒙思想2.0〔新版〕 政治・経済・生活を正気に戻すために (ハヤカワ文庫NF)』

ジョセフ ヒース, 栗原 百代 Kindle

  • 面白かった。

14. 『多様性の科学』

  • Kindle Unlimitedに入っていたから読んだ。内容は普通。

15. 『失敗の科学』

  • Kindle Unlimitedに入っていたから読んだ。内容は普通。ただ著者がポパーに影響を受けたと書いていたところに少し目を引いた。実際に何箇所かにポパーを引用している。


来年もいろいろやってみたい。AI・BI・DDDだけでなく数学とか哲学とか。



僕から以上

AndroidからMacにデータを送る方法

概要

MacAndroidが通信ケーブルで接続されているとき、Android File TransferというアプリをMacにインストールすることで、AndroidからMacにデータを簡単に送ることができるようになる。

前提

STEP 1: Android File TransferをMacにダウンロードする

  • 許可を求められるので「Allow」を選択する。

  • AndroidFileTransfer.dmgがダウンロードされていることを確認する。

STEP 2: Android File TransferをApplicationsに移動する

  • AndroidFileTransfer.dmgを開くと次の画面が表示がされるので、ドラッグ&ドロップで「Android File Transfer」を「Applications」に移動させる。

STEP 3: Android File Transferを起動する

  • AndroidのUSB設定を「ファイル転送/Android Auto」に設定する。

  • Android File Transferを起動する。警告が表示されるが「Open」を選択する。

  • もしかしたら右上に次のウェジットが表示されるかもしれないが、特に問題はない。

  • ウェルカムページが表示されるので、「Get started」を押す。

  • うまくいけば次の画面が表示される。

  • これを使ってデータを移動させることができる。ドラッグ&ドロップを使って簡単にデータを移動させることができる。

トラブルシューティング

  • ケーブルでMacAndroidを接続しているが、うまくいかない場合。次のようなエラーが表示される。

  • この場合、ケーブルを一度抜いてから、USB設定を「ファイル転送/Android Auto」にし直したり、Androidを再起動したりするとうまくいく(場合がある)。

おわりに

スマホアプリを開発するとき、Macで開発してAndroidの実機で確認することが多い。iPhoneでの確認ももちろんするが、iOSのビルドはAndroidより時間がかかったりする。開発は基本的にAndroidで確認して、最後にiPhoneで確認するようにしている。しかしAndroidのデータ(スマホアプリのスクリーンショット)をMacに送るのが面倒であった。たいしてiPhoneならばAirDropを使ってすぐにデータを送ることができる。今回、Android File Transferを使えば、AndroidでもすぐにMacにデータを送ることができるようになるのでとても便利になるだろう。ただしちゃんと接続がうまくいけばの話だが。




僕から以上