疑念は探究の動機であり、探究の唯一の目的は信念の確定である。

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無駄な話。圏・対象・自然変換・随伴をどのような記号で書くか

今日も無駄な話。

どうでもいい話。圏論においてさまざまな概念をどのように書けばいいのか、という話。

 

 圏と対象の表し方

(1) S. Mac Lane, Categories for the Working Mathematician (CWM)の場合

ちょっとよくわかりにくいけども...

圏: {A, B, C, \ldots}

対象: {a, b, c,\ldots}

圏は太文字にも斜体でもない。 

 

(2) S. Awodey, Category Theory(CT)の場合

圏: {\bf{C}, \bf{D}, \bf{E},\ldots}

対象: {A, B, C, D, \ldots}

 

Awodeyの本では圏の記号と対象の記号が基本的に一致している。圏は太文字で書かれている。

圏を{\bf{C}}とすると対象は{C, C'}となっている。記号が統一されていていい。だが、ダッシュ({'})がしばしば使われている。

この書き方はいいかもしれない。 ただ、たくさんの対象を使う場合、少し汚く書かれるかもしれない。綺麗に書こうとすると2回のダッシュ{C''}を使うことになる。その代わりに{A, B}を使うとすると、少し汚くなる(統一感がなくなる)。

 

(3): T. Leinster, Basic Category Theory(BCT)の場合

圏: {\mathscr{A}, \mathscr{B}, \mathscr{C}, \ldots}

対象: {A, B, C, \ldots}

 

圏を{\mathscr{A, B}}と書くことによって、対象{A, B}と統一的に書くことができる。このような書き方も綺麗であるからいい。だが、圏(Category)を{\mathscr{C}}ではなく{\mathscr{A}}と書くのに少々抵抗感がある。

圏を斜体(script)で書くことによって、一般性を表している。集合の圏などは{\bf{Set}}と太文字で書かれている。また、小さな圏を表すときも太文字で書かれている。このことによって極限(limits)を定義するとき綺麗に書ける(図式(diagram)を定義するとき、小さな圏{\bf{I}}から圏{\mathscr{A}}への関手とする, p.118)。

 

(4): M. Barr and C. Wells, Category Theory for Computing Science(CTCS)の場合

圏: {\mathscr{C}, \mathscr{D}, \ldots}

対象: {A, B, C, \ldots}

 

(5): F. W. Lawvere and R. Rosebrugh, Sets for Mathematics(SM)の場合 

圏: {\mathcal{C}, \mathcal{D},\ldots}

対象: {A, B, C, \ldots}

 

(6): J. Adámek, H. Herrlich and G. E. Strecker, Abstract and Concrete Categories The Joy of Cats(ACC)の場合

圏: {\bf{A}, \bf{B}, \bf{C},\ldots}

対象: {A, B, C,\ldots}

 

(7): P. Smith, Category Theory A Gentle Introduction(CTGI)の場合

圏: {\mathscr{C}, \mathscr{D},\ldots}

対象: {A, B, C, \ldots}

 

(8): E. Riehl, Category Theory in Context(CTC)の場合

圏: {\mathcal{C}, \mathcal{D},\ldots}

対象: {X, Y, Z, c, d, \ldots}

 

いくつかの本では対象を{X, Y, Z,\ldots}で書かれる。これも一貫性があるが、唯一気になるところは、圏の定義の1つである射の合成のアソウシエティビティ(associativity){h\circ (g\circ f)=(h\circ g)\circ f}を言うとき、少し困ることである。つまり、対象を4つ使わなければならず、対象を{A, B, C,\ldots}で書くならば、これプラス{D}を使えばよく、綺麗に書ける。つまり {A\overset{f}{\to}B\overset{g}{\to}C\overset{h}{\to}D}。だが、{X, Y, Z}を使うと、もう1つの対象を{W}で書くと、どのように書くかで迷う。一方で、{X\overset{f}{\to}Y\overset{g}{\to}Z\overset{h}{\to}W}と書くのか、それとも他方で、{W\overset{f}{\to}X\overset{g}{\to}Y\overset{h}{\to}Z}と書くべきか....ほんとどうでもいいけど、気になる。

 

自然変換の表し方

(1): Mac Lane, CWMの場合

自然変換 {T: C\overset{\cdot}{\to} B}

自然変換を他の矢印と区別するために、矢印{\to}の上にドットがついている。

 

(2): Awodey, CTの場合

自然変換 {\theta: F\to G}

矢印は他のもの(射や関手)と同じ。

 

(3): Leinster, BCTの場合

自然変換 {\alpha: F\to G}

普通に書くときは、普通の矢印であるが、図式で自然変換が使われるときは、 F\overset{\alpha}{\Rightarrow}Gと書かれる。 

 

(4): Barr and Wells, CTCSの場合

自然変換 {\alpha: D\to E}

ただし、関手は{D, E: \mathscr{G}\to \mathscr{C}}である。

 

矢印は普通。

 

(5): Lawvere and Rosebrugh, SMの場合

自然変換 {\tau: F\to G}

ただし、関手は{F, G: \mathcal{A}\to \mathcal{B}}である。

 

(6): Adámek, Herrlich and Strecker, ACCの場合

自然変換 {\tau: F\to G}

 

(7): Smith, CTGIの場合

自然変換 {\alpha: F\Rightarrow G}

ここで、関手は{F, G: \mathscr{C}\to \mathscr{D}}である。

 

(8): Riehl, CTCの場合

自然変換 {\alpha: F\Rightarrow G}

ここで、関手は{F, G: \mathcal{C}\to \mathcal{D}}である。

 

 

随伴の表し方

(1): Mac Lane, CWMの場合

随伴 {F: X\to A, G: A\to X, \varphi_{x, a}: A(Fx, a)\cong X(x, Ga)}

 

どういうわけか、随伴を定義するとき圏が{X, A}となっている。関手は普通に{F, G}である。

 

(2): Awodey, CTの場合

随伴 {F: \bf{C}\to D, U: \bf{D}\to \bf{C}}

 

どういうわけか、随伴を定義するとき関手の1つが{U: \bf{D}\to \bf{C}}となっている。

 

(3): Leinster, BCTの場合

随伴 {F: \mathscr{A}\to \mathscr{B}, G: \mathscr{B}\to \mathscr{A}}

 

普通。統一性がある。

 

(4): Barr and Wells, CTCSの場合

随伴 {F: \mathscr{A}\to \mathscr{B}}, U: \mathscr{B}\to \mathscr{A}, \eta: 1\to UF

 

少し変更されている。

 

(5): Lawvere and Rosebrugh, SMの場合

随伴 {F: \mathcal{X}\to \mathcal{A}, G: \mathcal{A}\to \mathcal{X}}

 

ここでも、圏が少し変わっている。んー、どうしてだろう。慣習かな....?

 

(6): Adámek, Herrlich and Strecker, ACCの場合

随伴 {G: \bf{A}\to \bf{B}} 

ただし、関手{F: \bf{B}\to \bf{A}}

 

(7): Smith, CTGIの場合

随伴 {G: \mathscr{B}\to \mathscr{A}}

ここで、それに対する関手は{F: \mathscr{A}\to \mathscr{B}}である。

 

(8): Riehl, CTCの場合

 随伴 {F: \mathcal{C}\to \mathcal{D}, G:\mathcal{D}\to \mathcal{C}}

普通。 

 

 

終わりに

実に無駄なことをまとめてしまった。

しかしいくぶん気になったので書いた。

個人的には圏を{\bf{C}, \bf{D}}と書き、対象を{A, B, C,\ldots}と書き、自然変換を {\alpha: F\to G}と書き、随伴を{F: \bf{C}\to \bf{D}, G: \bf{D}\to \bf{C}}と書くのが好きである。ただ、そうすると、圏 {\bf{C}}に対して対象が{A}となってしまい、統一性がなくなり見た目が悪くなるとも言える。だが、Awodeyのようにそろえるのも少し抵抗があるし、Leinsterのようにそろえるのも少し抵抗を覚える。んー、どうしましょうか。

 

 

僕から以上