今回は、ロシア語の文法の確認です。時制と平叙文の関係についてです。時制とは現在・過去・未来の3種類であり、平叙文とは肯定文と否定文の2種類のことです。
ロシア語の基本的な文法をいくつか確認したいと思います。
まず、それは英語で言えば、次のようなSVC形式の文法です。
(1) I am a student. They are students (現在形 + 肯定文)
(2) I am not a student. They are not students (現在形 + 否定文)
(3) I was a student. They were not students (過去形 + 肯定文)
(4) I was not a student. They were not students (過去形 + 否定文)
(5) I will be a student. They will be students (未来形 + 肯定文)
(6) I will not be a student. They will not be students (未来形 + 否定文)
このような形の文章を作るためには、過去形と未来形のときに造格を使わなくてはなりません。ですが、それ以外は特に問題はありません。
次に、天気についての同様なパターンの表現を書きます。つまり、Today is sunny, Today is not sunny, etc.です。
天気を言うときは、各パターンに対して主に2通りの言い方があります。それは主語のみの文章と主語なしの副詞のみの文章です。
最後に、haveの同様の表現をまとめます。つまり、I have a pen, I don't have a pen, etc.です。
haveを使うときは、他と少し異なります。それは特に否定文を作るときに生格を使わなくてはならない点です。
それでは。
ロシア語でのSVC表現
パターンは全部で6つです。つまり、(1) 現在 + 肯定、 (2) 現在 + 否定、(3) 過去 + 肯定、(4) 過去 + 否定、 (5) 未来 + 肯定、(6) 未来 + 否定です。
(1) 現在形 + 肯定文のSVC
一番初めに習う文章。英語のbe動詞は普通は書かれない。そのまま名詞を並べばいい。英語の「a」や「the」などの冠詞はロシア語には存在しない。それらは英語と異なる。ただし、主語の数と補語の数は一致しなければならない。そこは英語と一緒。
Я студент.
(I am a student.)
Они студенты.
(They are students)
(2) 現在形 + 否定文のSVC
現在形の否定文を作るときは、主語と補語の間に否定を表すнеを入れればいい。特に、格を変化する必要はない。主格でいい。主格単数か、主格複数かのことだけを考えればいい。
Я не студент.(I am not a student)Они не студенты.(They are not students)
(3) 過去形 + 肯定文
過去形を言うときは英語のwas, wereに相当するものが、был, была, было, былиである。これらは主格の性によってそれぞれ変わる。主格の性が男性ならばбылであり、主格の性が女性ならばбылаであり、中性ならばбылоであり、複数ならばбылиを使う。つまり、
был (男)
была (女)
было (中)
были (複)
である。もしも、私(Я)や君(Ты)を使うときは、その人の性にしたがってбылかбылаを使い分けなければならない。
次に補語についてであるが、過去を言うときは補語の格は造格に変わらなければならない。そして、その数も一致しなければならない。
Man) Я был студентом.
Woman) Я была студентом.
(I was a student)
Они были студентами.
(They were students)
(4) 過去形 + 否定文
基本的に前の (3)と同じ。主格と補語の間にнеを入れればよい。ただし、発音が少し変わるので注意せよ。
не был (ニェービル)
не была (ニビラー)
не было (ニェービラ)
не были (ニェービリ)
Я не был (не была) студентом.(I was not a student)Они не были студентами.(They were not students)
(5) 未来形 + 肯定文
未来形を言うときは英語のwillに相当するものは、бытьである(正確にはbe動詞の未来形)。бытьは以下のように人称変化する。
一人称単数 Я буду
二人称単数 Ты будешь
三人称単数 Он будет
一人称複数 Мы будем
二人称複数 Вы будете
三人称複数 Они будут
主語の次にこれらを適宜使えばよい。
補語は過去形のときと同じ造格である。
Я буду студентом.(I will be a student)Они будут студентами.(I will be a student)
(6) 未来形 + 否定文
過去形と同じ。
Я не буду студентом.(I will not be a student)Они не будут студентами.(They will not be students)
天気の表現
次に天気についての同様のパターンをまとめてみよう。
天気については英語の表現と異なる。英語は必ず、It's をつけて主語 + 動詞の表現でなければならないが、対して、ロシア語はそうではない。副詞のみでも可能である。
一方で英語ではtodayやyesterdayやtomorrowは「今日に」などの副詞の意味だけではなく「今日」などの名詞の意味がある。だが、他方でロシア語ではそれらに相当するсегодняやвчераやзавтраには、副詞のみの意味しかない。名詞の意味はないので注意が必要である(一応、辞書で調べたら名詞の意味もあるけれども。基本的には副詞のみである。この辺の事情はよくわからない)。
天気のいい方は主に2通りある。それは、(i) 副詞 + 主語と (ii) 副詞のみである。
(i) は英語的に表現すれば、「Today (is) a sunny day」である。ただし、ここでtodayは副詞の意味である。
同様に(ii) は「Today sunnily」である。todayは副詞であり、sunnilyも副詞である(晴れているの副詞形)。
他にも、英語的にはおかしいが、(iii) Today day is sunnyという、表現も可能である。ここで Todayは形容詞であり、dayにかかっている。sunnyは形容詞であり、この形はSVCである。このような言い方もロシア語では可能であるがまだ私がよくわかっていない。今回は(iii) の言い方は省略する。
しかし、いずれにせよ、意味はすべて同じである。
それでは、これらを踏まえて、それぞれのパターンを見てみよう。
(1) 現在形 + 肯定文
副詞(今日)と主語(晴れの日)の組み合わせと、副詞(今日)と副詞(晴れの)の組み合わせの言い方を書きます。これが基本形です。
(1) Сегодня солнечный день.
(Today is sunny)
セヴォードニヤ・ソールニチニィ・ヂェーニ
(2) Сегодня солнечно.
(Today is sunny)
セヴォードニヤ・ソールニチナ
以下にこの文章を解説します。
まず、それぞれの単語の発音とそれらの意味についてです。
- сегодня ---- セヴォードニヤ ---- 今日に (副詞のみ。辞書には名詞の意味もあるけれども)
- солнечный ---- ソールニチニィ ---- 晴れの(sunny)
- солнечно ---- ソールニチナ -----その副詞形。つまり、晴れに(sunnily)
- день ---- ヂェーニ ---- 日(day)。これは男性形です。деньの格変化はそれ自体で重要であり、気持ち悪い変化です(不規則変化)。しかし、それに関しては今回は必要がないので省略します。
次に文法の説明をします。
最初の、Сегодня солнечный деньについてです。これは、副詞 + 主語という文法構造です。副詞がсегодняであり、主語がденьであり、солнечныйは主語のденьにかかっています。деньが主格・男性名詞であるため、солнечныйは格変化をする必要がありません(つまり、主格男性形)。
英語的に表現すればこの文章には補語(C)がありません。もちろんロシア語の場合、先ほどと同じように、現在形の場合be動詞は必要ありません。
英語的に表現すれば、この文章は「Today sunny day is」でしょうか。しかし意味は普通、Today is sunnyです。
次の、Сегодня солнечноについてです。これは、副詞 + 副詞という文法構造です。 сегодняもсолнечноも共に副詞です。ロシア語では副詞をそのまま並べても通じます。この文章には主語も動詞も補語もありません。
英語的に表現すれば、「Today sunnily」でしょうか。しかし、意味は上のと同じです。
基本的な表現はこの説明で十分でしょう。あとは、先ほどのI am a studentの例題とパターンは同じです。補語がないために過去形および未来形での造格変化はありません。それでは、さらっと紹介です。
(2) 現在形 + 否定文
(1) Сегодня не солнечный день.
(Today is not sunny)
(2) Сегодня не солнечно.
(Today is not sunny)
(1) ---- 副詞 + 主語: 主語はあるけど補語はない。
(2) ---- 副詞 + 副詞: 主語なし。副詞のみ
(3) 過去形 + 肯定文
(1) Сегодня был солнечный день.
(Today was sunny)(2) Сегодня было солнечно.
(1) ---- 副詞 + 主語: 補語なし。主語がдень(男性)であるため、былである。
(2) ---- 副詞 + 副詞: 主語なし。すべて副詞のみである。主語がないときには中性形のбылоを使う。
(4) 過去形 + 否定文
(1) Сегодня не был солнечный день.
(Today was not sunny)(2) Сегодня не было солнечно.
(1) ---- 副詞 + 主語: 補語なし。理由は先ほどと同じ。
(2) ---- 副詞のみ。
補足: (2) のほうが普通。つまり、(1) は文法的には正しいがあまり言わない。(2) のほうがよく言われる。
(5) 未来形 + 肯定文
(1) Сегодня будет солнечный день.
(Today will be sunny)(2) Сегодня будет солнечно.
(1) ---- 副詞 + 主語: 補語なし。деньは三人称単数であるので、будетである。
(2) ---- 副詞 + 副詞: 副詞のみ。無人称であるから、このときはбудетを使う。
(6) 未来形 + 否定文
(1) Сегодня не будет солнечный день.
(Today will not be sunny)
(2) Сегодня не будет солнечно.
(1) ---- 副詞 + 主語: 補語なし。
(2) ---- 副詞 + 副詞: すべて副詞。無人称文
補足: 先ほどの(4) 過去形 + 否定文の場合と同様に、(2)のほうがよく言われる。
以上より、天気についてのパターンをまとめてみた。
天気について基本的にはこの2種類の表現がある。つまり、副詞 + 主語と副詞のみである。しかし、他にも言い方がある。が、まだ私はよくわかっていない。再び先生に質問をする。
天気についての詳しい表現は、のちのブログに書く。
その時まで待て!!
haveの表現
最後にhaveについての同様のパターンをまとめよう。これまでのとは少し違うので注意が必要です。
ロシア語は英語のhaveやドイツ語のhabenに相当する動詞はありません。それはいいことでもあり、悪いことでもあります。いいことは、ロシア語の動詞は半端なく意味不明で、おかしなものであるので、超重要表現である「持っている」がそうではないというのは、楽だからということです。英語やドイツ語だとhaveは「持っている」や「ある」といった以外の意味があるので、それがめんどくさいですが、ロシア語にはそれがありません。悪いことは、独自に覚えなければならず、特に生格を覚えなければならないと言うことです。生格は難しい(そして頻出)だそうです。
それでは、haveについてまとめます。
(1) 現在形 + 肯定文
У меня есть ручка.
(I have a pen)
ウ・メニャー・イェスチ・ルーチカ
「〇〇が何々を持っている」と言うときはУ кого-чего есть кто-чтоです。кого-чегоとは要は生格のことです。кто-чтоとは主格です。
まず、уとは前置詞です。直訳は「〜のそば」です。そこから帰属の意味が生まれます。уは生格支配です。つまり、уの後ろには生格が来ます。
次に、меняですが、これは私(я)の生格です。英語ではI, my, me, mineと変化するのと同じで、яの生格変化がменяです。у меняで「私は持っている」という意味です。
次に来るестьは存在を強調します。現在形 + 肯定文のときはこれが使われます。естьはあるのが普通ですが、なくても別に構いません。存在を特に強調しなくてもいいときや、存在が自明の場合は、естьを省略してもいいです。естьは単数・複数それぞれに可能です。
最後にручкаは(女性)名詞でペンの意味です。このときは、単数・主格で使われています。
順番も別にこのようでなくても構いません。というか、基本的にロシア語は順番は適当です。
(2) 現在形 + 否定文
У меня нет ручки.
(I don't have a pen)
「持っていない」と否定するのときはнет + кого-чего (生格)を使います。ручкиはручкаの単数・生格です。
これまでの否定の表現は主語と補語の間にнеを入れればよく、現在形ならば特に格変化することはありませんでした。ですが、haveの場合は、現在形の場合неではなくнетを入れ、格が生格に変わります。この辺がこれまでとは異なりますので、注意してください。
それでは過去と未来の時制のパターンについてみてみましょう。
(3) 過去形 + 肯定文
У меня была ручка.
(I had a pen)
先ほどのI was a studentと同様に主格となるものつまり「持っているもの」が男性名詞か、女性名詞か中性名詞か、複数名詞かによってбытьは変わります。
(4) 過去形 + 否定文
これは要注意です。ほぼ例外だと思います。正直、このパターンはまだ完全にはわかりません。わかり次第また補足します。それを踏まえて。
У меня не было ручки.
(I did not have a pen)
не былоのサンプル
ネットで調べた限り名詞の格いかんにかかわらずне былоであるように思われる。調べたら次のような文章が出てきた。
(1)
У конфеты не было фантика.
фантикは男性名詞である。
(2)
У меня давно не было повышенного артериального давления.
давлениеは中性名詞である。
(3)
У меня не было причин сердиться.
причиныは複数形である。
追記 2018/04/14
過去形の否定形のとき、名詞の性の如何にかかわらず、не былоであるだろうと書きました。先生に聞いたら、そうだとのことです。
(1)
У конфеты не было фантика.
キャンディには包み紙がなかった。
これは次のように書き換えられる。
(1)'
Конфета была без фантика.
キャンディは包み紙なしであった。
このとき、конфетаが女性形の主格であるため、былаとなります。その代わり、без кого-чего(without) を使って、「キャンディは包み紙がなかった」として表現できます。
要は、過去形の否定文はいつでもне былоであり、これは例外としてちゃんと理解しましょう。(追記終わり)
(5) 未来形 + 肯定文
У меня будет ручка.
(I will have a pen)
ручкаが三人称単数であるため、будетです。もしも、後ろに来る名詞が複数形ならばбудутです。
(6) 未来形 + 否定文
У меня не будет ручки.
(I will not have a pen)
будетの後ろに来る名詞は生格です。
終わりに
まだ不完全な箇所がありますが、時制(現在・過去・未来)と平叙文(肯定文・否定文)の関係についてまとめました。
天気の詳しい用法と持っているの詳しい用法はのちにブログに書きたいと思います。今回はあくまでも文法的な問題を中心に考えてきたのでそれらの表現は最低限のことしかありません。
このブログが参考になってくださればうれしいです。
追記 2018/04/14
天気の表現についてさらによくわからなくなったのでまとめてみます。「今日は晴れていた」と言いたいときは、
(1) Сегодня не был солнечный день.
(2) Сегодня не было солнечно.
でいいかと思います(特に(1)が本当に正しいのかどうかよくわからなくなった)。ここでは、haveで紹介した「持っていないとき、なかったときは名詞の性の如何にかかわらず、常にне былоである」という文法ではなく、普通に名詞の性に依存してне былを使うとのことでした。
ところが、「今日は雨であった」と言いたいときは、
Сегодня не было дождя.
となるということです。ここではhaveで紹介した文法が使われています。дождя はдождьの生格です。一体どうしてなのか? ということです。頭の中でごちゃごちゃになっています。「今日は雨にならない」と言うときは、
Сегодня не будет дождя.
と同様になります。
よくわからなくなった。それなら「Сегодня не был солнечный день.」ではなく「Сегодня не было солнечного дня.」となるのではないかと思ったからです。その辺りを聞いてみます。
もっとも、先生は「(1)のようには言わず、普通は(2)のように言う」と言っていたので、天気の言い方を覚えるときは、常に「副詞 + 副詞」の表現を覚えたほうがいいのかもしれません。
また、報告します。
僕から以上