疑念は探究の動機であり、探究の唯一の目的は信念の確定である。

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立ち読み書評#2: 齋藤孝『バカになれ 50歳から人生に勢いを取り戻す』

立ち読み書評第二弾。
今回は齋藤孝の『バカになれ 50歳から人生に勢いを取り戻す』です。

バカになれ 50歳から人生に勢いを取り戻す (朝日新書)

バカになれ 50歳から人生に勢いを取り戻す (朝日新書)

私はもちろんまだ50歳ではありませんが、まぁ久しぶりに齋藤先生の本を読みました。
あいかわらず多産で、すごいのですが、私はあまり齋藤さんのことを評価していません。
適当に読むにはーーまさに立ち読みにはーーもってこいの作家です。


内容は周りの評価とか気にせずに「自分本位」で頑張れよ。「バカになれよ」という叱咤激励をして、バカになるためのアドバイスやアイディアが延々と記載されているという本です。

これまで50歳になって、社会常識やなんやらを身につけた中高年。彼らには常に「他人の評価」が気になってしまう。そうなると、どうも身動きが取れなくなったり、「これでいいや」といった打算が生じてしまう。
そのような態度を改めるには「自己本位」で立ち振る舞わなくてはならない。
「仕事では他人本位にならざるを得ないかもしれない。だが、今では「いいね」欲しさにプライベートすらも、他人本位となってしまう人たちが多い。プライベートぐらいは自己本位になってもいいじゃないか」ーーそんな感じで中高年に「バカになれ!!」と叱咤激励をする。



あとはひたすら自己本位になるためのいろいろなアドバイスや自身の体験談が書かれている。今までの親しみのある曲だけでなく乃木坂のような新しい曲を聴くとか。
「バカになれ」とは要は「好きなものを見つけてそれに熱中しろ」ということでもある。

好きなものが見つけられなかったら、身体を使えという。大声を出せ、ライブを楽しめ、身体を動かせと。個人的な自身の体験談だと、「頭をマッサージしろ。それも頭蓋骨から頭皮をめくるように。そのように強くマッサージしたから何度か頭皮から血が出たことがあるが、そのぐらい強くやったほうがいい」とも無責任に非科学的なことをアドバイスしていたーーさすがにこれはあまり真似しないほうがいいと前置きが書かれていたが。



基本的に本書では仕事では他人本位でプライベートでは自己本位という考えを支持しているように思われる。そのような区別は悪くはないと思う。だが、堀江さんとか巷で言われている「好きなことを仕事に」というのは、仕事とプライベートを区別せずに両方とも好きなことで自己本位に生きていくという(比較的)新しい考え方なのだろう。
ただ、第4章で「ゾーン」の話が出ていて、仕事が趣味の人の話が出てきた。だから、完全に仕事とプライベートを区別して考えているわけではなさそうだった。理想は仕事 = 趣味(プライベート) = 自己本位だけれども、現実的には難しいからそうやって区別しようみたいな感じかもしれない。
最後には「どうせ仕事をしなければいけないのだから」、その仕事の中で楽しいところや楽しめそうなところや好きなところを見つけて、頑張れよみたいな他愛のない結論が書かれていた。



齋藤さんの本を久々に読んだ。前に読んだ時に書かれたネタはなくて、新しいネタしか見なかった。いろいろなことに興味を持ってバイタリティのあるかただなと思う。それは素直に称賛する。ところどころ笑える箇所があった。「本なんか捨てるものか」と昔から固く信念を持っていたが、書棚を10個を捨てなければならず、最終的に「ときめく本」のみを残して、あとは全て捨てた話。「全力脱力タイムズ」で直前の台本に「すべてIKKOさんのモノマネで」と書かれていて、やるしかないと思い、恥じらいもなく下手くそなモノマネを全力でやってみたら、意外におもしろかったとか。ワープロが登場した当時、ブラインドタッチを猛練習したら、のちに役に立った。けれども最近はむしろ原稿は手書きで書いているとか(笑えるというよりも驚きの箇所)。



だいたいこんな感じかな。覚えていることは。

齋藤さんは意外に体育会系なんだなと思った。というか非科学的な人だった。変な方向に無駄な努力が向いている感じ。速読を実践するために、時間を作っては目の動きを特訓したり、いろいろな努力を独学(自力)で試行錯誤なんかしたり。

齋藤さんがその社会的立場を利用していろいろな人たちと話をすることができるのは羨ましいなと思った。有名のなせる特権であろう。そしてそのような異分野からいろいろなことを学んでいる齋藤さんの姿勢も評価できる。





僕から以上