疑念は探究の動機であり、探究の唯一の目的は信念の確定である。

数学・論理学・哲学・語学のことを書きたいと思います。どんなことでも何かコメントいただけるとうれしいです。特に、勉学のことで間違いなどあったらご指摘いただけると幸いです。 よろしくお願いします。くりぃむのラジオを聴くこととパワポケ2と日向坂46が人生の唯一の楽しみです。

実対称行列の対角化について

{n} 次行列 {A} の対角化についてまず最も簡単なケースは固有値がすべて異なっているときである。そのときは行列 {P} が存在して
{
P^{-1} A P =
\begin{bmatrix}
\alpha_1&&\\
&\ddots&\\
&&\alpha_n
\end{bmatrix}
}
が成り立つ。{\alpha_i}固有値である。
しかし、一般に固有値が重複しているとき問題は複雑となる。結局それはJordan標準形の議論になる。
しかし、応用上非常に使われる特別な行列である実対称行列(Hermite行列)の場合、たとえ固有値が重複していても上の定理のように単純に対角化できる。それは次のような定理である。

定理
{n} 次実対称行列 {A} に対して、{n} 次直交行列 {P} が存在して、
{
P^{-1} A P = P^T A P = 
\begin{bmatrix}
\alpha_1&&\\
&\ddots&\\
&&\alpha_n
\end{bmatrix}
}
が成り立つ。
ここで、{P^T} は転置行列であり、{\alpha_i (i = 1, \ldots, n)}固有値である。

この定理を帰納法で証明する。たしか有名どころの線形代数の本はこの定理をかなり遠回りに(抽象理論を定式化してから)証明している。より直接的に初等的に証明する。
今日もノートの処理である。

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他の人には全く無駄な話であるが、自分にとって決定的な話

今日は何かが変わった。
それは他の人には全く関係ないが、自分にとって決定的な何かが変わった。ある種の信念が確立されたと言うべきだろう。
原因は1つではないが、これまでつもりに積もった感情と今日起こったいくつかの出来事によって、変わった。見た目は変わっていないが気持ちが変わった。
昨日の夜に母親から電話がきた。祖母の訃報の知らせであった。それによって幾分気持ちが動揺していたのと、これまでの祖母の思い出を振り返り、そして「自分にとって何が大切なのか」「これからいかに生きるべきか」ということを漠然とながら考えていた。そんななかで、今日の出来事によって(それは個人的なことから社会的なことまで)、気持ちが変わってしまった。
これ以上は書かない。だが、自分の人生を、自分が無駄だと思っていることに時間を消費しないようにしていこうと決めた。

書評: 朝永振一郎著『物理学とは何だろうか』

今回は書評です。それは朝永振一郎先生の『物理学とは何だろうか』(上)(下)です。

物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)

物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書)

物理学とは何だろうか〈下〉 (岩波新書 黄版 86)

物理学とは何だろうか〈下〉 (岩波新書 黄版 86)

書評と言っても、数年前にノートに書いたものを以下にそのまま晒します。文字が汚くてみづらいかと思いますが、何かの役に立ってくだされば嬉しいです。

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ロシア語のПокаの3つの用法

今回はロシア語のпока́(パカー)について書きます。
пока́は3つの用法があり、
(1) Bye
(2) (not) yet
(3) while
です。

  • пока́の用法 (1) じゃあね。
  • пока́の用法 (2) まだ (~でない)
  • пока́の用法 (3) ~のあいだ
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圏論についてのいくつかの疑問

三日坊主にならないためにとりあえず書く。しかし、あまりPV数には影響されないようだ。
今回は圏論についてのいくつかの疑問を並べてみる。
(1) 圏の定義と基礎づけについて
(2) Coequalizerについて
(3) 自由モノイド・自由群・自由加群などについて
(4) テンソル積について

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数学の抽象と具象: 具体例は抽象化される。

数学を学んだり研究したりする上で、具体例の重要性について議論されていた(主にネット)。数学以外の一般的な議論においても、抽象と具象の行き来が重要だとどこかに書かれていた(気がする)。「抽象」は「曖昧」とか「わかりづらい」と悪い意味で使われがちである。「大臣の答弁は抽象的である」といった具合にである。一般的な議論は置いといても、少なくとも数学においては概念は他の学問と同様に抽象的である。そして(どこかに記事を書いたけれども)数学にはそれ特有の抽象性として、記号を用いた「抽象からの抽象」がいたるところに存在する。

最近、圏論を学んでいてひしひしと感じるのは、数学の具体例はしばしば抽象化されるということである。
例えば、同値関係を導入して、整数の集合 {\textbf{Z}} から有理数の集合 {\textbf{Q}} を構成する方法がある。それを抽象化して一般の可換環から分数環(商環)を構成する方法を得る。さらに、その分数環を圏論の分数化へと抽象する。そのときの手がかり(具体例)となるのは、抽象的な分数環となるのである。
他にも、最初は、アーベル群や加群は整数の集合などから抽象化された概念であった。しかし、それらに慣れたならば、次はアーベル圏へと抽象化される。さらにそれからアーベル圏の複体のなす圏 {\textbf{Chain}(\mathcal{A})} は三角圏の具体例となる。
このような具体例の抽象化は、数学概念だけにとどまらず定理もそうだと思う。はじめにピタゴラスの定理は抽象的なものであったが、それに慣れると今度はそれを一般化するような定理があるのではないかと思うだろう。それでついに余弦定理を得るのである。

物理学などの科学は理論と実験とがある。理論をつくったり法則を導いたりするだろう。そのプロセスは抽象である。他方で、実験して理論が正しいかどうかを検証する過程は具体である。科学のはじめは理論も素朴なものであり、マクロのものであった。しかし、時代が進むにつれて電気になったり電子になったり宇宙となったりどんどんと抽象化していった。はじめは原子は圧倒的な抽象物であったが慣れることによって、いまや当たり前の存在となり、それよりももっと小さい(抽象的な)対象物を研究材料としている。

数学も同様なのではないかと思い始めている。数学にも抽象(理論)の過程と同時に具象(実験)の過程もある。そして科学研究と同じように具象もどんどん抽象化していっていくのだろうと。
数学的対象や数学的現象は自然対象や自然現象とは異なり目に見えない。しかし、数学を学べばそれらはひしひしと肌感覚として感じることができるのだろう。そのようなまでに数学ができるようになりたいな。



僕から以上

今年の目標

2019年の目標

  1. 毎日書く。少なくとも年間で200個の記事を書く。
  1. 圏論の基礎をまとめる。圏・関手・自然変換・極限・随伴関手・カン拡張まで。ただしまだわからないところがあるので、その辺は適当にする。基本的にはAwodeyの教科書(Downloadable)を参考に書く。個人的にはAwodeyよりも、BorceuxのHandbook of Categorical Algebra 1 ~ 3が好きだから、それを参考にする。
  1. アーベル圏についての記事をまとめる。プレ加法圏から始めて、アーベル圏の基本的なことをまとめる。特別なアーベル圏であるグロタンディーク圏はやるかもしれないし、やらないかもしれない。三角圏や導来圏はするかもしれないし、しないかもしれない。基本文献は『圏論の技法』と『圏と加群』である。前者は丁寧に書かれていて、とても好き。対して、後者はあまり好きではない。前者にはグロタンディーク圏について書かれておらず、後者には書かれてあるので、後者は適当に取捨選択して、さっさと読み終えたら捨てる。
  1. 層とトポスを勉強する。Mac Lane and Moerdijk, Sheaves in Geometry and Logic (Downloadable)を読む。JohnstoneのTopes Theoryもできればする。
  1. 多様体についてまとめる。L. Tu, An Introduction to manifolds(Downloadable)が一番気にっているからそれを中心にまとめる。松本先生のは個人的にはあまり適さない。
  1. 多様体をまとめた後に、シンプレクティック幾何学をまとめる。Foundations of Mechanicsを勉強するから、それや他の教科書を参考にまとめる。いまだに疑問は残っているから、今年こそは少しでも解決したい。
  1. プログラミングもちまちま記事にする。 これからどのような言語を使うかわからないけれども。
  1. フランス語・ドイツ語・ラテン語を勉強する。特にフランス語は数学論文を読むために必須だから。ドイツ語もだけども。ポーランド語とハンガリー語も勉強する。
  1. 適当にロシア語をまとめる。ロシア語で書かれた数学書も読むかもしれない。
  1. 適当に英語をまとめる。数学英語もまとめる予定。
  1. 乃木坂やけやき坂の聖地巡礼の記事を書く。
  1. パワポケ2の記事を書く。


たぶん、目標は達成できないかもしれないけれども、ひとつでも達成できるように頑張ります。




僕から以上