疑念は探究の動機であり、探究の唯一の目的は信念の確定である。

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反変ベクトルと共変ベクトルについて

概要

反変ベクトル(contravariant)と共変ベクトル(covariant)を解説する。これらは直行基底のときは区別はない。が、一般のテンソルには区別が必要である。  完全に自分のためにノートです。あしからず。

 準備

省略。必要な前提知識は

実ベクトル空間

基底

標準基底

双対空間

双対基底

です。 

知らなかったら適当に調べてください。

いつかちゃんと書きます。

実数ベクトル空間 {\mathbb{R}^3}

実ベクトル空間

ベクトル空間の要素をベクトルという。

 

基底

基底は重要。標準基底は標準的。

 

双対空間 {(\mathbb{R}^3)^*} 

双対空間はベクトル空間である。双対空間の要素をコベクトル(covector)という。

 

双対基底

ベクトル空間に基底が存在するようにその双対空間にもそれに対応する基底が存在して、それを双対基底という。 

 

基底の変換

簡単のために実数ベクトル空間 {\mathbb{R}^3} を考える。2つの基底 {\Sigma \{ {\bf e}_{1},\, {\bf e}_2,\, {\bf e}_3 \}\,\,\, \Sigma' \{{\bf e'}_{1},\, {\bf e'}_2,\, {\bf e'}_3\}} とする。基底変換を

{{\bf e}_j = a^i_j {\bf e'}_i}

{{\bf e'}_j = \bar{a}^k_j {\bf e}_k}

とする。ただし、{i, j = 1, 2, 3} とする。 さらにここでは和のシグマを省略している。

このとき、

{{\bf e'}_j = \delta^i_j {\bf e'}_i = {\bf e'}_j = \bar{a}^k_j {\bf e}_k}

{= \bar{a}^k_j a^i_k {\bf e'}_i}

である。ただし、{\delta^i_j}クロネッカーのデルタである。よって、

{a^i_k \bar{a}^k_j = \delta^i_j}

である。

同様に、{\bar{a}^i_k a^k_j = \delta^i_j} を手に入れる。ここで、{A = (a^i_j),\,\, \bar{A} = (\bar{a}^i_j)} とおくと、{I = A\bar{A} = \bar{A} A} であるから、{A} は直行行列である。

 

 

ベクトルの成分の変換

任意のベクトル {{\bf v} \in \mathbb{R}^3} に対して、

{{\bf v} = v^1 {\bf e}_1 + v^2 {\bf e}_2 + v^3 {\bf e}_3 = v'^1 {\bf e'}_1 + v'^2 {\bf e'}_2 + v'^3 {\bf e'}_3}

とすると、上の基底変換の公式を用いると、次のようになる。

{v^j {\bf e}_j = v^j (a^i_j {\bf e'}_i) = a^i_j v^j {\bf e'}_i = v'^i {\bf e'}_i}

{v^i {\bf e}_i = v'^j \bar{a}^i_j {\bf e}_i = \bar{a}^i_j v'^j {\bf e}_i}

 

したがって、ベクトルの変換公式

{v'^i = a^i_j v^j}

{v^i = \bar{a}^i_j v'^j}

を得る。

これらと基底変換

{{\bf e}_j = a^i_j {\bf e'}_i}

{{\bf e'}_j = \bar{a}^k_j {\bf e}_k}

を比較すると、ダッシュとバーが逆転している(次のコベクトの成分の変換の節も参考)。だから、このベクトルを反変ベクトル(contravariant)と言う。  

 

 

双対基底の変換

上と同様に考える。{\mathbb{R}^3} の双対空間を ({\mathbb{R}^3)^*} として、{\Sigma,\,\, \Sigma'} の双対基底をそれぞれ {\Sigma_D\,\{f^1, f^2, f^3\}\,\,\, \Sigma'_D\,\{f'^1, f'^2, f'^3\}} とする。つまり、

{f^i({\bf e}_j) = \delta^i_j}

{f'^i({\bf e'}_j) = \delta^i_j} 

である。{i, j = 1, 2, 3}

(双対基底を太文字で書くべきかどうか迷ったけど、普通に書いた。ノートには最初太文字で書かれているけど計算過程では普通の文字で書かれている)。

 

このとき先ほどと同じように双対基底の変換公式を求めてみよう。

{f'^i = \alpha^i_j\, f^j} とおく。ただし、和のシグマは省略され、{\alpha^i_j} は実数である。{i, j = 1, 2, 3} である。

このとき、{f'^i({\bf e}_j) = (\alpha^i_k f^k)({\bf e}_j)} である。この左辺と右辺をそれぞれ計算すると以下のようになる。

左辺:

基底変換 {{\bf e}_j = a^k_j {\bf e'}_k} より、

{f'^i({\bf e}_j) = a^k_j f'^i({\bf e'}_k) = a^k_j \delta^i_k = a^i_j}

 

右辺:

{(\alpha^i_k f^k)({\bf e}_j) = \alpha^i_k f^k({\bf e}_j) = \alpha^i_k\delta^k_j = \alpha^i_j}

 

したがって、{\alpha^i_j = a^i_j} である。同様に {f^i = \alpha'^i_j\, f'^j} とおくと、{\alpha'^i_j = \bar{a}^i_j} である。よって、双対基底の変換公式

{f'^i = a^i_j\, f^j}

{f^i = \bar{a}^i_j\, f'^j}

が得られる。

 

 

コベクトルの成分の変換

先ほどのベクトルの成分の変換公式を求めるのと同じようにこベクトルの成分の変換公式を求めてみよう。

任意のコベクトル {\alpha\in (\mathbb{R}^3)^*} に対して、

{\alpha = \alpha_1\, f^1 + \alpha_2\, f^2 + \alpha_3\, f^3 = \alpha'_1\, f'^1 + \alpha'_2\, f'^2 + \alpha'_3\, f'^3} とすると、先ほどの双対基底の変換公式を用いると、

{\alpha_j\, f^j = \alpha'_i\, f'^i = \alpha'_i a^i_j f^j}

である。よって、{\alpha_j = a^i_j \alpha'_i} を得る。同様に、{\alpha'_j = \bar{a}^i_j \alpha_i} である。つまり、コベクトルの変換公式は

{\alpha_j = a^i_j \alpha'_i}

{\alpha'_j = \bar{a}^i_j \alpha_i}

である。

これらと基底変換

{{\bf e}_j = a^i_j {\bf e'}_i}

{{\bf e'}_j = \bar{a}^k_j {\bf e}_k}

を比較すると、ベクトルの場合とは異なり形が同じである。よって、このベクトルを共変ベクトル(covariant)と言う。

 

 

反変ベクトルと共変ベクトルの定義

反変ベクトルと共変ベクトルの正確な定義は省略。

 

正規直交基底の変換の場合

2つの基底 {\Sigma,\,\, \Sigma'} を正規直交基底とする。つまり、

{({\bf e}_i, {\bf e}_j) = \delta^i_j}

{({\bf e'}_i, {\bf e'}_j) = \delta^i_j} 

主張はこのとき反変性と共変性の区別はなくなることである。

 

{{\bf e}_i = a^k_i {\bf e'_k}}

{{\bf e}_j = a^l_j {\bf e'_l}} とすると、

{\delta^i_j = ({\bf e}_i, {\bf e}_j) = (a^k_i {\bf e'}_k, a^l_j {\bf e'}_l) = a^k_i a^l_j \delta^k_l}

{= a^k_i a^k_j} 

よって、{a^k_i a^k_j = \delta^i_j} である。つまり、{A = (a^i_j)} は直交基底である。{I = A^{-1} A =  {^t}A A}

{\bar{A} = (\bar{a}^i_j) = {^t} A = (a^j_i)}

要するに、正規直交基底のとき、{\bar{a}^j_i = a^i_j} である。

よって、 コベクトルの変換公式 {\alpha'_i = \bar{a}^j_i \alpha_i} より、{\alpha'_i = a^i_j \alpha_j} である。これはベクトルの変換公式 {v'^i = a^i_j v^j} と同一である。

 

以上より、正規直交基底だけを対象とする場合、反変性と共変性の区別をする必要はない。

 

 

おわりに

今回はテンソルの場合を考えていない。三次元の実数ベクトル空間のみを考えたが、容易に一般化できる。

まだいくらか不完全であるがここで終わる。

 

 

参考文献

田代嘉宏著 テンソル解析 , 基礎数学選書 23, 裳華房, ch.4 一般のテンソル代数 §1. 反変ベクトル、共変ベクトルpp.146-157

 

 

僕から以上